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番外編
3
「兄貴」
「体に気をつけろ。家事と学校の両立はきついだろうけど、無理はしなくていいから」
「兄貴」
「何かあったらすぐ電話しろよ。携帯に繋がらなかったら学校のほうに掛けてな」
「兄貴」
「元気でな、雷」


溢れる。
止まらない。
悲しい。
寂しい。
怖い。
嫌だ。









俺は兄貴を、
抱き付くみたいに抱き締めた。









「やだ」

言う。兄貴が笑って、俺の背中に手を回した。ぽんぽん、と叩かれると、俺が抱き締められてるようになる。

「行っちゃやだ」
「ごめんな」

俺より細い兄貴の肩に顔を埋めた。

「やだよー…」
「雷」

兄貴が俺の肩に手をついた。ゆっくり体を放す。兄貴は俺の顔を覗き込んで、ぼろぼろに溢れる涙を指の腹で拭いてくれた。
兄貴が笑う。

「次俺が帰ってくる時までに何か料理覚えてたら、何でも好きなもの作ってやるよ」
「……………マジで?」

現金な事にゆっくりと涙が引いていった。兄貴はそれを確かめると、笑んでからもう一度俺を抱き締めた。








「いってきます」
「……………いってらっしゃい」






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