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白虹学園
お呼び出し



職員室の前には、見知ったきれいな人が立っていた。こっちに気付くなり微笑みかけてくれる。俺も笑みを返した。

「綾先輩、こんにちは。どうしたんですか?」

生徒会書記の藤堂綾先輩でした。
相変わらず今日もまぶしい。笑うとまた一層かわいいから、嬉しいような困るような嬉しいような。さらさらと腰までの髪が揺れる。

「こんにちは、水上くん」

よそ行き口調だ。人目もあるしな。

「私が君たちを学園長室に案内するよう言われているんです」
「あ、そうなんですか?すみません、お昼時にわざわざ」
「いえいえ、構いませんよ。久しぶりに水上くんにも会えましたし」

二人でうふふーと笑っていて、はたと気付いた。
え…と?

「学園長室、ですか?」
「ええ。学園長直々にお話があるそうです」

ええ?なんだろう。
あからさまに心配げな顔になったらしい俺に、綾先輩はすぐに、大丈夫、と笑った。

「きっと実力テストの結果についてだと思います。聞きましたよ。一位おめでとう。さすがですね」

そうか、そういえば武田も呼ばれてたよな。

「ありがとうございます」

お礼を言うとふいに、綾先輩がふうわりと笑ん、で、

「わ、」

本当に華みたいな香りが鼻腔に流れてきた。綾先輩の白い首筋がいつの間にか目の前にあった。

「明日の朝、一緒にご飯食べない?お祝いにご馳走するわ」

わー!先輩!
耳元で囁かれて、ユデダコ具合が取り返しのつかないことになる。男性のものでも女性のものでも無い不思議な声は、その分どっちの色気も持ち合わせてる感じがする。心臓に悪い。

「あー…何なら俺作りますけど…!」

思わず即答で了解したくなったのを必死に堪えた。だって綾先輩の『ご馳走するわ』は多分俺の手料理20回分くらいのお値段に匹敵するんだもの、いや、もしかしたらもっとか。

綾先輩が顔を上げる。俺の真っ赤な顔を見て目を丸くしてから、くすくすと笑った。


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