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白虹学園
2
それだけ言い切ると、ため息をついて佐助は自分の頭をくしゃくしゃと掻いた。

「思ってた以上だよ。異常なくらいお前に注目が集まってる。一位の奴には手出さないと思ってたけど、もしお前を『部外者』と思ってるやつがあれだけいるなら話は別だ」

『あれだけいるなら』という佐助の言葉に、さっきいた野次馬の数を思い出す。数十人。ひょっとしたらもっと。

「『部外者』に自分の上に立たられるなんて事が許せる奴らじゃない。むかつくけど、確かに有坂の言ったことは合ってるよ。お前の周りには敵しかいない」

息を呑む。タダごとじゃなくなってきたんだって事が、ようやく分かり始めた。佐助の目はいらついたように俺を見つめていた。

「いいか、とにかく勉強以外では目立つな。A組も全員敵だし、高見沢も敵だ。藤堂先輩は敵じゃないかもしれないけど、藤堂先輩のとりまきは敵。全員だ。気を許すなよ」

佐助は“全員”を繰り返した。





“全員”。
でも、それじゃ、






「佐助」
「あ?」
「佐助は?」

訊くと、友人は目を見開いた。そうしてすぐにその視線を逸らして、乾いた声で笑った。

「何言ってんだよ」

佐助は俺の問い掛けに答えなかった。

「佐助」
「ほら、もう時間だ。行くぞ」

佐助が足早に廊下に出ていった。もう一度腕を掴もうとしたけど、あっさりすり抜けられた。

「佐助」






もう一度呼んだけど、振り返ってはくれなかった。







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