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白虹学園
4

「何悠長にため息ついてんだよ。これから大変だろお前」

佐助に叱咤されて背筋が伸びる。それは確かにそうだ。掲示板にもう一度目をやる。

3位は垣代早瀬。おお、垣代。副会長もやってるのに本当にすごいな。492点か。

4位は一之瀬六(いちのせ ろく)。確かうちのクラスで、サッカー部入ってる奴だっけ。勉強も出来るのか。こっちもすごいなぁ。490点。

順に見ていくと、途中佐助の名前も見つけた。18位。455点か。



「しかし…武田ねぇ。確かにずっと1位は死守してたけど、今までの最高点だな。ま、うちの学力テストは比較的簡単だけど…」

佐助は自分の成績なんか見てないみたいに掲示板の上の方ばかり気にしてる。
佐助は5教科455点。てことは平均91点だ。俺はただのガリ勉だからいいけど、佐助は情報屋っていう副業もしててこの成績。並大抵の事じゃないっていうのはよく分かる。すごいな。
垣代にしろ一之瀬にしろ佐助にしろ、何か他の事をしながら勉強をやっていくっていうのは、本当にすごい事だと思う。

「聞いてんのか?長雨」

顔の前で手を振られて、慌てて我に返った。佐助が少し辺りを見回す。人は大勢いるのに、俺達の周りには微妙に空間が出来ていた。

何だか目立ってしまってるような。

俺も見られてる気はするけど、どっちかというと佐助の方が注目浴びてるような気がした。
ぼそぼそと話してる奴らの中から、「情報屋」とか「編入生」だとかって言葉がチラホラ聞こえた。何となく不穏な空気だ。佐助が舌打ちをする。今度こそ表情は曇っていた。

「場所移動するぞ」
「あ、おう」

早足で人だかりを抜けていく佐助についていこうとした、その時だった。




足に何かがぶつかって、視界が揺れた。



「うわ!」
「長雨!?」



振り返った佐助の顔は見れなかった。床が襲いかかってくるみたいに視界に迫る。





わあ!転ぶ!かも!








どさっ








衝撃に身構えて思わず目を閉じたけど、いつまで経っても痛みを感じることはなかった。あれ?打ち所悪くて気絶した?それとも死んだ?辺りがざわざわしているのが聞こえる。

「さっさと離れてもらえますか」
「え」

ソロソロ目を開ける。目の前に胸があった。残念ながら当然男の。

顔を上げると、きりっとした眉の下の、気の強そうな瞳と目が合った。


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