白虹学園
2
勉強はしたし、出来に自信もあった。でもうちのクラスの誰がどんなにすごいのか俺はまだ知らないから、一位になれるという保証は無い。
いや、でもそもそも一位じゃなきゃ俺特待やばいんですがね。
「上位35位までは掲示される事になってるから」
「35位…A組に入る可能性のある生徒ってことか」
「そーゆーこと」
この学校は成績順にクラスが分けられる。学年に四回の定期テストと二回の実力テストの平均順位で決まるらしい。内、A組の成績優秀者、文武各三名には個室支給。これは学期ごと(この学校は前後期制らしい)の成績で決まるんだとか。
「基本、ステータス重視の学校だから、一部の奴以外は成績優秀者には手出さねーよ。もし一位取れたら先輩の事よりルームメイトの心配しとけ」
「高見沢の心配?…食生活とか?」
確かにそれはすごく心配だ。何食って生きてんだろうな、あいつ。
だけど佐助ははぁ?という顔をした。
「リンチ防止に決まってんだろ。前の高見沢のルームメイトがどうなったか忘れました?」
「…鼻潰されて入院、だっけ」
「そう。下手に先輩連れ込むと先輩の方も危ないからな」
うーん、俺はそこまで悪い子には見えないんだけどねぇ。
渡り廊下の終わりが近付くにつれ、ざわざわと人の声が聞こえ始めた。
五階までの吹き抜けになった広いロビーに出ると、掲示板に大きな紙が貼られて、人だかりが出来ていた。
「おっ、もう貼られてんじゃん。長雨、行こうぜ」
佐助が喜々とした顔で歩調を早めた。俺もそれに着いて行く。
「あっ、あいつだろ」
人だかりのどこかで声がした瞬間、視線をいくつか感じた。
「地味だな」
「まぁガリ勉らしいんじゃん?」
「お手付きじゃなさそうだな。今の内にツバつけとく?」
「ははっ、無いわお前」
うわ、結構丸聞こえなんですが。お願いだからツバつけないでください。
そういえば、始業式は休んだから、この学園で人が大勢いるところに出て行くのはこれが初めてだったけど…本当に有名になっちゃってたんだなぁ。
自然に人だかりが割れて道が出来る。佐助が一瞬立ち止まった。
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