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白虹学園
3

「でも引っかからなかった」

佐助に促されるようにレコーダーが続きを話す。

『ふうん、ナイフなんて野蛮なもの使ったのか、あいつら。それ、別に俺の指定じゃないから』

「…しらばっくれてるのかしら」
「いや、嘘をついてる感じじゃありませんでした」

やっぱりそうか。

『何で今回はお前一人だった?』
『二度は引き受けない事にしてるんだと。ヤンキー如きが偉そうに。だから一晩何とかカードを借りて俺が来た』
『なぜ砂川達はカードを持ってた?』
『それは俺じゃなくて高見沢くんのが詳しいんじゃないか?俺は興味ないよ』
『一年前の事は』

訊いたのは高見沢だった。

『一年前?………ああ、俺は関わってないけど、やっぱあんた犯人じゃないんだ』
『……………』
『なら多分犯人は砂川達じゃない?F組のヤンキーにしては頭が回るよな。高見沢くんじゃなく高見沢くんのルームメイトばかり狙うなんてさ。分かっただろ?俺は実行犯じゃない。放してくれよ』

プツッ、と、佐助がテープを切った。


「こんなとこか。反省の色は全くないな。少し脅したら軽口叩くみたいに簡単に砂川を売った」
「…最低ね」

綾先輩が辛そうに言った。

「保身が一番大事なクズ野郎ですが、その分ウソはついてないと思います」



クズ野郎、か。



複雑な気分ではあるけど、佐助がすごく冷静だから、俺もさっきよりずっとスムーズに頭を働かせる事ができた。

「じゃあ佐助、あの夜の『高見沢に似た男』は一之瀬じゃない可能性が高いんだな?」
「………そういう事だ」

綾先輩が俺と佐助を交互に見つめる。

「そんな…じゃあ一体誰なの?」
「多分、答えは砂川達が知ってます」

佐助が開いた膝の上に肘を乗せて、指を組んだ体勢で言った。なんだか大人みたいな素振りだな。



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あきゅろす。
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