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白虹学園
途中経過報告会





『先約』の名前は高見沢レンといいます。





屋上に入る。む、よし、誰もいないな。今日もいい天気だ。
一昨日、高見沢が座っていた給水タンクの陰に入って座った。今日は少し弁当袋が重い。

バターン、と、けたたましく扉が開く音がした。お、来たか。俺は給水タンクから顔を出す。

「おーす、たかみざ…ぅわっ!」

別にふざけて名前を呼んだ訳じゃない。息を切らした高見沢に手を引かれて、むちゃくちゃな立ち上がり方をしたら変な声が出てしまった。なんだなんだ。

「ど、どうした!?」
「来い」

大きな熱い手に引かれて、給水タンクの裏に回る。高見沢がさっとはしごに登った。俺も反射的にはしごに手をかける。登り始めた時にはもう、高見沢が3メートルはあるそのはしごを登りきるところだった。軽々って感じだなぁ。

俺もなんとか最後のバーに手をかけた時、もう一度バターンと音が響いた。

「高見沢ァ!!」

聞き覚えのある声だった。もしかして砂川か?
近くで高見沢の舌打ちが聞こえたかと思うと、脇の下に何かが入ってきて、ひょいっ、と、体が浮く感じがした。

「え?」

はしごから思わず手を放してしまったのに、俺の体は落ちなかった。一瞬、高見沢と目が合った。「高い高ーい」の体勢だ。


あれ、俺一応身長170あるんだけどな。


そのまま仰向けに引き上げられる。だけど固い感触はなくて、ただあったかかった。背中と頭に回った腕の感触にしばらく考えた。





俺、今、

高見沢に抱かれてるのか。





「おい、ムラ、いたか?」
「いない。やっぱりこっちじゃねぇんじゃねぇのか」
「あの野郎ォ」

高見沢が息を潜めて下の様子を伺ってるのが分かる。俺も高見沢の胸板に顔を埋めたままで、呼吸を抑えた。汗の匂いがする。こんなすっぽり腕の中におさまっちゃっていいのか俺。少し鍛えた方がいいのかな。

「だめだ。いねぇ」

舌打ちが聞こえた。

「バカが、お前ら、油断すんなっつっただろ」




ぞくっ、と全身に鳥肌が立つ。






『バカが、お前ラ、油断すんナ』

機械を通した耳障りな鈍い声。電撃の熱さ。煙草の熱さ。痛み。痛み。

「おい、按司…やばいんじゃねぇのか…今朝の藤堂の話、ミナカミの事だろ」

自分の名前が出た事で我に返る。気付いたら高見沢の肩にしがみついていた。くそ、情けない。



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あきゅろす。
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