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白虹学園
3

「会長が先ほどおっしゃった通り、間もなく生徒会選挙の時期になります。私としても、皆さんに積極的に参加していただきたいと思っています」

綾先輩はすい、と目を伏せ、そして顔を上げた。悲しげな顔にどきっとする。辺りも少しどよめく。

「昨年、校内である生徒が暴行を受けた事件は皆さんご存じでしょうか?」

どよめきがもう一度起きた。俺はふとももの上で拳を握った。綾先輩の声が響き続ける。

「私は、あのような事件は二度と起きてほしくないと考えています。今は大事な時期ですからなおさらです」

綾先輩が胸に手を置いて辛そうに言う。誰か止めに来たとしてもおかしくなかったのに、不思議な事にそれは無かった。

「もし」

綾先輩が顔を上げた。鳥肌が立つ。強い、それは、凛とした男の表情だった。

「またあんな事をするような人間が現れた場合、生徒会はその人間に厳重な処分を与えるつもりです。皆さんがそんな事をするとは思いませんが、くれぐれも自分に責任を持って行動してください」




綾先輩。




綾先輩が頭を下げて、舞台から去っていく間、広い講堂がしんと静まり返った。『水を打ったような静けさ』のお手本みたいだった。

「あ、と、藤堂さん、ありがとうございまし、た」

司会進行が動揺している。わぁっ、と、騒ぎが広まった。その間に周囲に目を配る。

「どういう意味だ今の」
「藤堂先輩すげぇかっこいいな…」
「事件ってあれだろ?C組の高見沢の…」

好奇心の笑みを浮かべて話し合う生徒がほとんどの中、たった一人、こっちを見ている人間がいた。







怖い目だな、一之瀬。











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あきゅろす。
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