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白虹学園
2

今度は柔らかく微笑む。その視線が全校生徒を見渡す。不思議な人だ。本当に全ての人を見てるような気がする。こんなに遠いのに、目が合うような気が、する。完璧な人、に、見える。

最後に会長が目を止めたのは、俺たちが座る二階席の正面。C組のあたりだった。




C組には高見沢レンがいる。




「僕にもすごく大切なものがある。それを守るために、この一年やってきたつもりです。何の為でもいい。その為にこの学校を良くしていきたいと思うなら、より多くの人に生徒会に協力してほしい。今年の選挙も楽しみにしています。」

会長が一歩下がると盛大な拍手が起きた。俺もその一部になって手を何度も重ねる。すごい人だと素直に思う。この人が、これだけの人数の代表者なんだ。

「えー、それでは、今日の朝会はこれで…え?」

会長がステージから去った。締めようとした司会進行役の生徒の元に、ステージ脇から誰かが近寄るのが見えた。長い艶やかな髪を確認して、教室がどよめく。

「は?え、…は、はい、あ、はい…わ、分かりました。えー、皆さん、失礼しました。書記からもご挨拶があるそうですので、もうしばらくそのままでお願いします」

ざわざわが大きくなる。ステージの真ん中まで優雅な足取りで進んできたのは綾先輩だ。

「おい、ちょ…、藤堂先輩だぞ!」
「うわ、すげぇ、俺選挙以来ほとんど声聞いたこと無い」
「おい、黙れよお前ら!」

ざわざわの内容がじかに聞こえる。やっぱり綾先輩もすごい人なんだよな。

「みなさん、おはようございます。初めましての方もいらっしゃるかもしれませんね。白虹学園生徒会書記の藤堂綾です」

綾先輩はマイクの向こうでよそ行きの、だけど、とびっきりきれいな笑顔を披露した。う、うわ、ここからでも眩しいです先輩!
会長に対する声とはまた違った声援と拍手が起きる。

「ありがとう。皆さんお元気そうで何よりです。少しだけ、私の話を聞いてください」

ざわざわが一気に縮まって、高揚感をもったサワサワした空気を残して完全に静まった。すげぇ。綾先輩かっこいい。



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