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白虹学園
生徒会書記の意味深発言






「おはようございます」





春風みたいな壇上からの挨拶に、ざわざわとした講堂の空気が一気にまとまった。「おはようございます」と、小学生みたいな良い返事が返ってきて、壇上のその人、諏訪原愁がほほ笑む。

「ありがとう」

どこかで黄色い声が上がった。いい加減慣れてはきたけど、やっぱりちょっと異様だなぁ。

講堂はどこぞのライブ会場かと思うくらいでかい。正面にステージがあって、生徒側には『文化会館』とかの『大ホール』よろしく、ふかふかの座席がズラッと並んでいる。三階席まであるらしい。このマンモス校の全校生徒が座ってもまだ余裕があるみたいだ。

ステージの上のマイクが乗った台の向こうで、諏訪原会長はまるで目の前にいる友人に話すように何の動揺も緊張もなく話す。一昨日風呂で話した時と少しも変わらないな。すごい人だ。

「さて、5月の後半になると新生徒会選挙が行われます。」

ああ、そうか、生徒会選挙。もう会長も書記の綾先輩も三年生だもんな。

「僕はこの一年生徒会長を勤めてきた。責任のある仕事だったけれど、その分、すごく良い経験ができたと思っています。だから是非、やる気のある人は選挙に参加して欲しいと思う。僕個人としては特に会長への立候補を薦めたいな」

出来れば僕が居座りたいくらいだけど、と冗談めかした言葉に、くすくすと周囲から笑い声がした。

「僕たちは新しい生徒会メンバーを文化祭が終わるまで支援して、役職を完全に離れます。4月、突然会計の生徒が留学してしまって、みんなにはとても迷惑をかけた。本当に申し訳なく思っています」

会長の悲しげな顔に、どこからか感嘆の吐息が聞こえた。いやいや、男子校男子校。

「でも、一年生であるにも関わらず、臨時メンバーの有坂くんはすごく良く働いてくれた。有坂くんには、出来たら継続して生徒会に居て欲しいと思う。もちろん会計も選挙で決まるから、より良い生徒会を作る自信のある人は参加してほしいな」


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あきゅろす。
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