白虹学園
3
今度は無視じゃなく無言の肯定ですらない。高見沢は絶句した。その髪は金色。耳にはたくさんのピアス。タバコの香り。
多分ドッペルゲンガーに会ったみたいな気分なんだろうな。
「心当たりは?」
高見沢はにわかに信じられない、という顔で首を振る。佐助が頷いた。
「まぁ、髪なんてカツラでどうにでもなるし、ピアスも本物か分からない。可能性はいくらでもあるけど…そこまで来ると、ちょっと普通じゃない。砂川達程度じゃすまない恨みをあんたに持ってる奴がいるのかもな。ちなみにそんな心当たりは?」
「…………」
ありすぎて分からんという顔でした。
「…まぁ、その辺は砂川達を絞れば割れるだろうけどな。それじゃ、もう一つ。扉に挟まっていたライターはあんたのだろう?どうしてあいつらが持ってたんだ?」
「パクられた」
「いつ?」
「一昨日の夕方。絡んできやがったからケンカ買ってやった。あの時だろ」
佐助は頷く。高見沢の様子からしてケンカは四六時中みたいだし、これについては納得したみたいだ。
「それじゃ、最後だ。あんた、カードキーも盗まれたままだって言ったな?」
「……………」
高見沢は何を聞かれるか分かったみたいだった。
「それなら、今あんたが持ってるカードキーは一体何なんだ?」
「あ…!」
思わず、といったように声を上げたのは綾先輩だった。
高見沢はしばらく黙っていた。
「………あれは関係ねぇ」
「なら尚更教えてくれ」
「貰っただけだ。予備だと」
「予備…?」
「そんなものは無いはずです。発注をしないと…」
綾先輩の言葉に、高見沢は顔をしかめて首を振った。
「なら発注したんだろ」
「誰が?」
佐助の問いに、また高見沢は言い淀んだ。
もしかして、
「…寮の使用人だ。誰だったかは忘れた」
ああ、こいつは嘘が下手だ。
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