白虹学園
2
一瞬、ちょっとしんとした後に、佐助が俺を見て、しまった、という顔をした。無意識か。今度は嘘じゃないと分かって尚更照れる。
高見沢が軽く舌打ちをした。
「嘘ならどんな手を使ってもてめぇを潰す」
「ああ、それで構わない」
しばらく対峙した後で、高見沢は小さくため息をついた。ちらりと俺を見る。
「お前が話せ」
ピアスのついた唇が紡いだのは意外な言葉だった。
「いいのか」
これは多分高見沢のとても大事な話だ。高見沢はふいっと目を逸らした。
「同じ事は話さねぇ」
佐助を見る。彼も頷いた。
よし。
俺は昨日高見沢に聞いた話を話した。なるべく漏らすことがないように、昨日の事を思い出しながら。
「つまり、やったのは砂川達で、あんたはカードキーを盗まれただけ。今回の事も事件が起きるのは予知していたけど、止めるつもりで誰にも言わなかった。もし起きたら自分がやったと言うつもりだった、と。そういうことでいいのか?」
聞き終えた佐助は、これ以上無いくらいうまいこと話を要約してくれた。さすが。
「あらかた合ってる」
高見沢が舌打ちをした。多分恥ずかしいんだと思う。それでも肯定したので、ほっ、と、佐助も息を吐いたのが分かった。怖くないはずない。だけど彼は毅然として高見沢と接してる。本当にできた男だ。
「じゃあ、いくつか質問させてくれ。今の話を聞いていて、気になる点がいくつかあった。」
高見沢はやっぱり黙っていたけど、今度は無視ではないみたいだった。佐助は高見沢を見つめて口を開いた。
「まず、犯人についてだけど、俺も自分なりに調べた。砂川達がやったのは間違いないと思う。アリバイもないし、あんたへの怨恨だとしたら動機もある」
だけど、と、佐助は続ける。
「砂川、島、村澤。あいつらは三人。犯人は少なくとも四人以上だろ?あんたが犯人じゃないなら、残りの一人は誰なんだ」
「四人…?」
訝しげな声を上げて、高見沢が俺を見た。頷く。
「短い金髪で、ピアスいっぱいしててタバコ吸ってる奴がいた。そいつだけ覆面もしてなかった。顔は見えなかったけど」
「…………」
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