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白虹学園
3

「嫌いに決まってんだろ」
「そうか?ちょっととんでもない人だけど、少なくともあの人はお前が大好きなのに」
「はぁ!?」
「照れんなって。意地張ってるといざって時に後悔するぞ」
「照れてねぇ。言えるかそんなこっぱずかしい事」

やっぱり照れてるんじゃないですか。

「俺は自分の父親好きだったよ」

気まずそうに舌打ちをした高見沢に笑む。好きだったと、こんな風に言えるようになるまで、俺もある意味時間がかかった。
好きだった。俺は父さんが大好きだった。

「………てめぇの親父はヒトが良さそうだな」
「あら、褒めてくれてるんですか?」
「うるせぇ」
「いや、うちの父さんにもどうしようもないところはあったよ。俺の無茶苦茶なとこは父さん譲りかな」

高見沢が少し口を歪ませた。笑ったみたいにも見えたけど、気のせいかもしれない。

「でもさ、お前んちって三人よく見れば似てるのに、名前は全然共通点無いのな」

軽い気持ちで言ったその疑問に、

「だから何だ」

高見沢は怒るっていうより焦ったようにすぐさま言い返してきたので、ちょっとびっくりした。

「いや、うちはあまり似てない親子だったけど、名前だけは共通してたからさ。ちょっと言ってみただけです。不愉快だったら謝るよ。ごめん」

高見沢は気まずそうに俺から視線を逸らして、例の紅白味噌汁を一口すすった。

「………お前、」
「うん?」

呼び掛けてきたのに、変なタイミングで高見沢は黙ってしまった。
魚は普段食べないのかもしれない。箸使いは意外にうまいけど、鮭の身をほぐすのに手間取っていた。なんとか一口。ご飯を一口。それからまた味噌汁をすする。またむぐむぐ咀嚼して、全部飲み込んでから、言った。

「………本気で俺と諏訪原が似てると思ってんのか」
「ああ、うん」
「でまかせじゃねぇのかよ」
「本当だって。でなきゃ気付く訳ないだろ。特に眼な。よく似てる」
「…………」

まだ信じられなくて言ってるのかと思いきや、高見沢はそれだけで黙ってしまった。ああ、そうか。言ってほしかったのかもしれないな。

「お前と親父さんはよく似てるよ」

高見沢レンはむすっとした顔になって黙って卵焼きを食べた。

「うまい?」
「…………悪くはねぇ」








この子照れ屋さんですね。










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