白虹学園
3
作り置きのキャベツの浅漬けのパックを開けて、小皿に盛り付けて、と。よし。
さて、卵はどうするかな。
普段は甘めでガッシャガッシャ空気含ませた卵焼きにするんだけど…いや、今日は純和風を目指して、だし巻きにしよう。
ボウルにみりんや砂糖を入れただし汁を用意して、卵を割り入れて混ぜる。泡立てないように、丁寧に。ついでにゆずしょうゆも今作ってしまおう。
お、味噌汁のお湯沸騰した。削り節をたっぷり入れて、だしを取る。一度こしてからもう一度火にかけて、豆腐と油揚げを投入。もうしばらくしたら味噌投入だ。
味噌、どっちがいいかな。高見沢は赤味噌派かしら、白味噌派かしら。出来れば直接聞きたい。
ううう、やっぱり誰かにメシ作るのは楽しいな。
よし、秘密兵器登場。明石さんにわざわざ用意していただいた卵焼き鍋。四角いやつな。
コンロの上に置いたところで、ガタ、と音が聞こえた。
お、高見沢起きたかな?
様子を伺っていたら、黒いTシャツにジャージっぽい黒のズボンを履いた高見沢が、ぬぅっ、と、出て来て、ものすごい不機嫌そうににキッチンの横を通り抜けてバスルームに入っていった。
なんという低血圧丸出し。
「高見沢、おはよう」
バスルームを覗いて挨拶してみると、鏡に向かってベリベリガーゼを剥がしていた高見沢が鏡の中の俺をぼんやり見つめた。
「お前さ、味噌は赤と白どっちのが好き?」
鏡越しにものすごく眉を寄せて睨まれる。しまった、唐突すぎたか。
だけど、高見沢は大まじめに訊き返してきた。
「…………味噌に性別なんてあんのか」
「……………ん?」
ああ!
紅白歌合戦的な赤と白じゃないぞ!高見沢!
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