白虹学園
2
冷蔵庫の中を覗く。
好みも何も分からないからなー。無難な感じがいいかもしれない。よし、期限も近いし、鮭のゆずしょうゆ焼きにしよう。
思い付くままに冷蔵庫から材料を引っ張り出して、料理に取り掛かった。朝全部やるのって久々だなー。
鮭に料理酒と塩をふっておいておく。鍋に水を注いで火にかける。その間に具を用意した。豆腐、ワカメ、油揚げ。
ワカメは干したやつなので水に浸した。
油揚げに熱いお湯をかけてから、短冊切りにしていく。その最中にもなんだかあの夢が気になった。
ものすごくよく夢に見るっていう事は、やっぱり脳みそが何かを言いたいのかもしれない。
一之瀬は『1たす1』の答えを知ってるんだろうか。
でも、だからと言ってそれが今回の事件に関係あるとは…うーん、分からない。
幼稚園の頃、か。
「あんまり覚えてねぇなぁ…」
俺は幼稚園を途中で転校(っていうんだろうか)したらしい。だけど理由は『引っ越しをしたから』としか聞いていない。俺も思い出せない。
幼稚園の頃の記憶なんて昨日の事のように思い出せる!なんて高校生はなかなかいないと思うけど、俺みたいにほとんど一切思い出せない高校生もなかなかいないと思う。
俺、本当にバカだったんだな。でも、バカのせいで大事な友達との約束を忘れているのだとしたら本当のバカだ。
俺がいなくなって、『ろっくん』はどう思ったんだろう。
「わっ」
気付いたら包丁が指の上に乗っていた。びっくりした。もう少しでスプラッタだったな。
いかんな。折角高見沢とメシ食えるかもしれないんだから、今は集中しよう。
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