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―キミハカルマ―

“忘れたい?忘れない?…忘れられない
キリがない、君はカルマ


永遠に恋しい―…”



―キミハカルマ―


「アレンたっだいまさぁ〜っ!!」

―がばぁっ

「うわっちょっとラビ!!人前で抱きついてこないでって何度言えば…!!」

「無理。久しぶりに逢った恋人に触れたいって思うのはトーゼンしょ?」

「っそれは、僕だってそうですけどでも…っ!?」

―ちゅっ

「〜〜〜〜っなにするんですかーっ!!!」

いつも通りといえば、いつも通りの光景。ラビがやっと任務から帰ってきて、真っ先に僕に逢いに来る。
…逢いにきてくれるのは嬉しいけど。正直毎回毎回抱き着いて人前でキスするのはやめてほしい。


「まったく…!!」

「…アレンのケチ。」

「何か言いました?(黒笑)」

「イイエナニモ?ι」

「もう…。」

とりあえず談話室だと人が多いって事で、ラビの部屋に移動する。あの後僕に軽く天井近くまで殴り飛ばされてラビの機嫌はちょっと悪いけど、そこは気にしない。
でもなんだかんだ言いつつ、僕は相当ラビが好きで。本当は、ラビにされる事で嫌なことなんかないし、本気で怒ったこともない。
今だって呆れたふりをしてるだけ。
…多分ラビにはバレバレなんだろうけど。
だってラビは、誰よりも他人をよく見ていて。僕よりも僕の事を理解しているから。


そうして、鈍感な僕は気付かないんだ。
ラビの変化に…。



「…なぁアレン。俺のこと、スキ?」

「は?なんですか急に…」

「どんぐらい好き?俺のコト。俺がいなくても、生きていける?」

急な質問に頭がまわらない。そんなこと、知ってると思ってた。
さっきまで笑っていたのに、いきなり真剣な表情で、不安げな瞳をして僕を見るラビにどうしたらいいのかわからない。

「ちょっ…ちょっと待ってラビ!!本当にどうしたんですか?いつもの貴方らしくない…」

「…………もうすぐ、な?ここを出てくかもしんないんさ。」

「えっ……?」

「俺はブックマンだから、いつかここを出てくってわかってたつもりだった。今までその場所を離れるたびに全て捨ててきた。今回もそう。でも、さ。どうしても。アレンだけは手放したく、ない…」

そうやって、貴方が言ってくれるまで僕は気付かないんだ。
ラビが何を思っているのか、今までどれだけ不安だったか、とか。
そして、自分がどれだけラビに依存し、甘えていたか。


「ラビ…」

「今みたいに声を聞けない、側にいたり触れることもできなくなるなんて耐えられそうもないんさ…」


そんなの、僕だって同じ。ラビがいなかったら、もしかして呼吸の仕方さえわからなくなるんじゃないか。
貴方の側にいることが当たり前で、離れるなんて想像もしなかった。

でも、別れはいつかはくるんだ。マナの時の様に…。


「…ね、ラビ。僕は今、凄く幸せなんです。貴方に逢えて、愛して愛されて。」

「アレン…」

貴方に出逢って、初めて人を愛する事を知った。
どんな僕でも、受け入れてくれる人がいることを知った。
貴方はいつも沢山の愛を僕に与えてくれるから、いつの間にか僕は貴方に甘えていたんだ。

ねぇ、今までどんな思いで僕の側にいてくれたの?
ただ与えられるだけで何も返せなくて、何も気付けなくてごめんなさい。
不安なんて感じないで。
僕は永遠に貴方のものだから。


「ラビがいない、なんて僕は耐えられないですよ?出来るなら永遠に貴方の側にいたい…。でも、どんな事にも終わりはくる。だったら、前向きに考えましょ?今は、ほんの少しの別れだって。またいつか、逢えるって…」


どんな言葉も、意味が無いのかもしれない。どんなに綺麗事を並べても我が侭を言っても、変えられない現実だってあるんだから。
でも…


「ラビ…。一つ、約束してくれませんか?」

「…なんさ?」

「次にこの世界に生まれてきた時は、また僕を恋人にして下さい。」


約束をしよう。現実に負けないくらい、強い強い鎖でお互いを結ぶために。


「…ん、おっけ。でも次だけじゃないさぁ。次も、その次も。俺の恋人は永遠にアレンだけだって、今誓うよ。」

「…絶対ですからね?」

「だって俺もーアレンじゃなきゃ愛せないし。」

「……来世のラビも、そう思ってくれるといいな。」

「当前っしょ。」


そう自信満々で貴方は言うから、僕はこの約束が必ず叶うと信じて疑わなかった。
この貴方と僕の、永遠の約束を…。












「んっ…あ、れ?ここ…は……?」

僕が目を覚ますと、見知らぬ天井が目に写った。体は多少辛いけど起き上がりあたりを見渡すと、よくテレビなんかでみた病院の個室にいた。おまけに腕には点滴がしてある。


「びょう…いん……?」

―がらっ

「あ、やっと目が覚めた?心配したよ〜。事故に巻き込まれるなんて君も災難だったね。」

「あ、先生…?」

あまりまともに働いてくれない頭で状況を理解しようとしているとと、扉が開いて担任の先生が顔を見せた。
それでなんとか今の状態が理解出来た。僕は道路に飛び出した子供を助けようとして、代わりに事故にあったらしい。

それにしても…なんだかすごく懐かしい夢を見てた気がする。
辛くて悲しくて、でも愛しくて。そして、とても幸せだった時間…。
すごく大切な事を言っていたと思うのに、思い出せない。



「ま、僕がわかるならとりあえず脳は無事かな?痛いところあるかい?」

「あ、ちょっと体中が痛い、かな?ι」

今更ながらに、包帯の巻かれた箇所に痛みを覚える。体の節々も痛むし、出来るなら動きたくない。

「大ー丈夫っしょ。今医者に聞いてきたけど、特に傷が残る事はないってさ。」

突然ドアから声がして、そちらを振り向いた僕は呼吸をすることも忘れてその人を見つめる。
真っ赤な髪、緑の瞳、そして僕の中で生まれた衝動。
目が、離せない。



“何度でも生まれて何度死んでも
君に巡り逢ってしまう”


「どーも。ハジメマシテ。」


「はじめ…まして」



“その時僕は、最後の恋をする。”




(Song by..Kinki Kids“キミハカルマ”)

―End―


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