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月が音を奏でる夜
006
奏音が手配したコンサートスタッフ、及び、龍也が来るまでの間、楽曲について話していた。
トークで時間を稼ぐのは構わないが、話す内容も限られてくる。
それならば、カバーソングをやってみたらどうだ?と提案があった。

「カバーか…」
「ボク達が前座をするのは良いんだけど、それでも、時間が足りないんだよね」

QUARTET NIGHTとしてのライブなのだから、メンバーのソロ曲を多くするのは違う、と言う。
それには合点がいく。
なら、ライブの中盤にゲームとして、二手に分かれて、カバーソング合戦、と言う名目で演奏し、前半と後半に、QUARTET NIGHTの曲でサンドすれば、盛り上がるだろう、と言う。

「でも、著作権侵害とかならない?」
「営利目的じゃなく、非営利+無報酬+無収入なら、著作権侵害には当たらねぇんだよ」
「うん、そう。入場料+ワンドリンクの収益が合ったとしても著作権侵害には当たらないんだよ」
「後は、ここのコンサートホールがJACとのやり取りをちゃんとしてるか、だけど、大抵のハウスやホールはコピーバンドでも演奏出来る仕様になってるから安心して」
「……さっき、待ってる間、ここのホール調べたから大丈夫ですよー」

あざみの言葉に、ほっ、と安堵の溜息を吐いた。

「スーちゃん!!あざみん!」
「あ!コンスタ来たね」

奏音とあざみは、ぱたぱた、と手配したスタッフの元に駆け寄る。

「嶺二!蘭丸!」
「先輩!」
「日向さん!」

そして、ほぼ同時に龍也が到着する。

「バックバンド、手配出来たんだってな」
「ああ。知り合いがバンドしてたからな」
「今、コンスタと話してる」
「コンスタと?」

小首を傾げる龍也に、今回の件は企画会社ぐるみの犯行である可能性が高い旨を伝えた。

「マジか……でも、良くコンスタまで見つけられたな。感心するぜ」
「これも、ガール達のお陰」
「?」
「偶然、ライブさながらのリハを演る予定だったから、スタッフが揃ってたんだってさ」
「……そうか」

蘭丸と嶺二が見つめる方を見れば、コンスタ達と談笑している奏音達の姿が視界に映る。
すると、その視線に気が付いたのか、奏音がコンスタ達を連れて、蘭丸達に近付く。

「ボク達が何時も依頼してる企画会社のスタッフさん達だから、大船に乗った気でいて」
「突然の依頼で申し訳ありません」
「気にしなくて良いですよ」
「会社の方にはオレ達から連絡してありますから」
「ありがとうございます」
「じゃあ、時間が勿体無いから、打ち合わせ始めようか」

その言葉に、一同頷くと、コンサートホールの中に入って行った。

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あきゅろす。
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