短編小説
★カノジョのキモチ おまけB(黒崎蘭丸)
「んっ、あっ、あ!」
シーツを握る手を解かせ、背中に回させる。
ギシギシ、とスプリングが悲鳴を上げる。
互いの体温が触れ合い、しっとり、と身体を濡らしていく。
ちゅ、と首筋に蘭丸の口唇が這い、吸い上げる。
奏音の首筋に散らした紅い痣。
その痣が、また鮮やかに咲き誇ろうとする蕾の様に見える。
それを満足そうに微笑みながら、その痣を舌先でなぞっては、再び吸い上げる。
「んっ、ん…ぅ……っ、も…っ、あっあ……」
奏音の甘い声が鼓膜を擽り、きゅう…、と、自身に絡み付く膣壁の締め付けで、奏音の絶頂が近い事が感触で判った。
しかし、まだ絶頂にはイかせたくない。
もっと、もっと甘い声を聞いていたい。
もっと、もっと深く繋がっていたい。
もっと、もっと奏音を近くに感じていたい。
「ふ…っ…あっ!やぁっ!」
グイ、と奏音の身体を抱き締めたまま、座り込む。
言わば、対面座位である。
「んんぅ…あっ、やっ!」
「まだ、イかせねぇ」
「んっ!ら……んぅ」
欲と熱に掠れた声音で囁いてやれば、ビクッ、と身体を跳ねさせる。
何時もより深く挿入るソレに、ゾク、とした甘い痺れが背筋を駆け巡る。
そんな奏音の反応にクス、と笑うと、深い角度から口唇を奪う。
「んぅ…は…ぁっ、ん」
「ん…っ」
ちゅ、ちゅう……ぢゅっ
啄む様な、軽いキス。
そのキスが、次第に激しさを増して行く。
呼吸の為に開いた口内に肉厚な舌が侵入し、逃げようとする奏音の舌を捉えて、絡まる。
だが、キスはそれだけでは収まらず。
強引に奏音の舌を外に出る様に誘導したかと思えば、口外で絡まり合い、時折、甘噛みしては、ちゅう、と吸い付く。
ジン…とした軽い痛みが奏音を襲う。
「は…ぁっ、んぅ……。も、お願、い……んうっ」
「まだ、ダメだ」
蘭丸の胸板を押し、顔を離す。
しかし、それを許す蘭丸ではなくて。
後頭部に手を差し込み、再び引き寄せると、深いキスを交わす。
「んぅ、んむ…っ」
「ん……っ、は、ん……」
奏音の抗議の声など聞こえない様にして、思うがままに奏音の口唇と味を堪能していた。
「は…ぁっ、あっ、あっ」
長いキスに終止符が打たれ、意地悪な口唇は首筋を登り、耳朶を甘噛みする。
「あぁあっ!!」
肩に爪を立てられ、蘭丸は小さな痛みに眉根を寄せる。
「お願、い…っ。もぅ…っ」
潤んだ眼差しが、蘭丸だけを見つめる。
奏音の甘い声の懇願に、クス、と笑うと下から強く突き上げた。
「あっあっあ…っ、気持ちい…っ」
「奏音」
奏音の甘く艷やかな声音が静かな部屋に溶ける。
ギシギシ、とベッドが激しく軋む。
揺さぶられては堕ちていく、その感覚が呼び起こす快楽に思考が麻痺する。
「ひ、ぁっ、ら、蘭丸、くっ…」
「ん?」
消え入りそうな声に、耳を傾ける。
「ボ…クッ、蘭丸く、んしかぁ…っ、要らな、いから」
「!」
「見てな…からっ…」
奏音の告白に、目を見開く。
「こ、こんな、えっちぃコト、蘭っ、丸くんと、しか、したくな…ぁあっ」
「オレも、奏音(オマエ)しか要らねぇよ」
ふ、と柔らかい笑みを浮かべ、奏音の頬を撫でる。
すると、奏音は今まで見た事のない、幸せそうな笑みを浮かべる。
「蘭丸くんが好き……、大、好きだからっ、んっ」
「……オレもだ」
「あっ!!あっあっ、も…イッちゃ…」
「良いぜ、イケよ?」
抱き締めたまま、優しく奏音をベッドに押し倒すと、力強く、そして、激しさを増して突き上げる。
「…壊れ、る……っ!やっあ!壊れちゃ…!」
「壊れろよ。責任、取る、から…っく」
「…ぁっ、ひっ、あっ…!」
「く…っ」
「――――…ッ!!」
薄い皮膜の中に、欲を吐き出した蘭丸は、息を荒らげたまま、奏音の上に圧しかかる。
それとほぼ同時に、声にならない悲鳴を上げて、奏音の身体が一段と大きく跳ね上がり、ビクビク、と痙攣している。
どうやら、絶頂に上り詰めたようだ。
ズル…、と奏音の胎内から、ゆっくりと自身を抜き去る。
「奏音」
「ん…」
まだ紅さが残る頬を撫でると、奏音は瞳を閉じて、気持ち良さげに擦り寄る。
ぴく、と蘭丸の掌が反応を示した事に気が付いたのか、閉じていた瞳がゆっくりと開く。
「…?」
「……もう1回、な?」
「ちょ…っ、ボク、も、お腹いっぱ…っ」
「オレが足りねぇ」
圧し掛かったまま、奏音の細い首筋に噛み付く。
「ひゃあ!」
先程の余韻がまだ残る、奏音を陥落させるのには、そう時間は掛からない。
「……奏音」
「あぅ……」
欲と熱に濡れた眼差しで見つめられ、奏音はもじ、と身体を揺らす。
そして、ゆっくりとした仕草で、蘭丸の首筋に回す。
「後、1回だけ……なら」
そして、奏音の全てを蹂躪するのだが、1回だけで終わったのかは、定かではない。
ー終わりー
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