短編小説
★カノジョのキモチ おまけA(黒崎蘭丸)
はあはあ、と絶頂に上り詰めた感覚に酔いながら、呼吸を整える。
そんな奏音を他所に、蘭丸の視線が鋭く、熱を持つ。
ぱさり、と何かが落ちる音に、奏音の視線が蘭丸に向く。
そこには、トレーニングで鍛え上げた裸体を惜しみなく晒す蘭丸の姿が見えた。
ドキ、と、胸が鳴る。
「そろそろ……良いか?」
花弁に突き立てられ、絶頂に登らせた指が去り、代わりに、指とは違う太さ、硬さを持つソレが、ピタリ、と花弁に充てれらた。
そして、絡み合う視線に、ぞく、と、熱が背筋を駆け上がる。
「……ッ」
奏音は言葉に迷う。
熱を持ったソレによって、自らが淫らに乱れるのは判り切っていた。
『欲しい』
そう言ってしまえば、どれだけ、楽だろう。
けれど、あられも無い、乱れる姿を見られて、嫌われたらどうしよう、欲望を曝け出して、呆れられたらどうしよう、そんな思いがぐるぐる、と、脳裏を支配する。
「挿れるぞ」
奏音の無言が肯定、と判断したのか、蘭丸自身をゆっくりと花弁の中心に挿入して行く。
自身に絡み付く膣壁が、胎内でうねる。
何度も重ねた身体なのに、胎内はまるで、初めて抱いた時の様なキツさ、もあった。
[…ッ。持ってかれそうだ]
その絡み付く感覚を奥歯を強く噛む事で、耐える。
自身の胎内奥にまで侵入するソレに、奏音の理性が焼き切れた。
「力抜け。オレを食い千切る気か?」
「知らな……ッ、ふぁ、…ッ」
そう返せば、クス、と笑われた気がした。
ギシ、と、ベッドが大きく軋み、蘭丸の動きが止まる。
靱やかな、大きな掌が奏音の頬を撫でる。
すると、その掌に奏音の指先が這う。
「……」
すり……、と掌に頬を擦り寄せる。
うっとり、とした表情を掌に向け、その指先に唇を寄せる。
何時もなかなかキスしてくれない奏音が、この時だけ、指先にキスしてくる。
その時の表情すら、なかなか見せてくれない。
そんな何気ない奏音の行為が気に要らない。
「奏音、こっち向け」
「……ん…?」
掌に向いていた、熱が籠る眼差しが絡み合う。
ぞく、と何とも言えない鋭く甘い痺れが背筋を駆け上がる。
引き寄せられる様に、うっすらと開いた唇が重なり合う。
「ん…ぅ、ふ…ぅん」
くち、くちゅ、ちゅ…と、絡ませ合う舌が濡れた水音を静かな空間に与える。
する、と蘭丸の首筋に奏音の細い腕が絡む。
[酔った、な]
もっと……、と、言わんばかりに、キスを強請る。
ギシ、と、スプリングが跳ねる度、奏音の見る景色が揺れる。
「は……ぁあっ、い…っ…。ソコ…ッ」
逃さない、と言わんばかりに、背後から腕を回し、奏音の肩を掴んで固定する。
ギシ、ギシ、とスプリングが一定のリズムを刻む。
「あっあ……ッ、そこ、ト、ント…ッ、しちゃ……あっ」
「ココ、好きだろ?」
指では届かない場所にある、奏音が1番感じる部分。
そこをノックするようにしてやれば、蘭丸の首筋に絡む腕が解かれ、シーツを強く握り締め、快感を逃がそうとする。
「シーツなんざ握んなよ」
そんな他愛もない態度に嫉妬するなんざ、終わってんな、等と思いながらも、奏音の体躯の奥をノックする。
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