dragon night 006 パチパチパチ…。 気の爆ぜる音が聞こえる。 暖かい……。 周囲の空気が暖かい。 「う…っん…」 小さく発した呻き声に気が付いたのか、 「あ、いつきちゃん!!起きただよ!!」 その言葉が耳に入った。 「う…痛た…」 ゆっくりの身体を起こし、周囲を見回す。 見慣れない景色に目を丸くする。 「一体、ここは何処だ…?」 「おめぇさん、裏山で倒れてただよ」 「え?」 その言葉に驚いた。 オレは、山になんざ行ってねぇぞ?確か、あの子供を追いかけて、林を抜けた筈……。 蒼依は、小首を何度も傾げる。 「けど、おめえさん、運が良かっただよ。オラが通らなかったら、死んでただ」 「―――…そっか。ありがとな」 自身の身に起きた事を整理すると、こうだ。 子供を追いかけて、崖?から落ちる→気絶→知らない裏山の麓で倒れてる→救出。 なのだ。 先ずは、ここが何処なのか知る事が先決なのだが、 「先にあの小煩いシスターに連絡するか……」 ゴソ、とポケットを探り、スマホを取り出す。 しかし、スマホには"圏外"の表示。 「ですよね〜。しゃあねぇな…。なぁ、電話借りれる?」 「でんわ?何、それ?」 「……え?」 「え?」 お互いが、きょとん、となった瞬間だった。 [*前へ][次へ#] |