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dragon night
002
走る力が、体力が無くなって、次第に走る速度が落ちる。
後ろから迫る黒き手が、気持ち悪い。



離せ!!



黒い手が足に絡む。
捕まれた所から、闇が蝕んでいく。
どれだけ藻掻いても、黒い手は増えていく。
闇が、全てを覆い隠していく。

助けて!!

叫んでも、誰も来ない。

助けて!!兄上!!

叫んだ瞬間、思考が止まった。

ちょっと待て。
オレには兄などいない。
兄上って誰だ?
誰の事を云っている?

ぐるぐる、と、考えが巡る、その間にも、黒い手はオレを捕まえる。
その力に、息が詰まる。

苦しい……ッ。
ぼ…梵天丸様…ッ、助けて…ッ!!

ザシュ

何かを斬り捨てる音が聞こえる。
黒い手が、一瞬の閃光と共に、かき消される。

そこに現れるは、一人の少年であった。
手には、キラリ、と光る抜き身の刃。
不覚にも、綺麗だ、と思ってしまった。
少年は、ニヤリ、と笑うと姿を消した。

待って!!
行かないで!!

必死になって追いかける。

梵天丸様!!

待って、と叫んでも少年の姿はない。

何処に居る?

それだけを思い、暗い道を走った。

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あきゅろす。
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