番外編 4 奏汰手作りのアップルパイと、ほんのり甘いミルクティーを堪能している国光。 ゆったり、とした時間が流れる。 「………」 「………」 2人は会話を交わす事なく、お茶と本に夢中。 この時間が、とても好きだった。 誰にも邪魔される事もなく、好きな本が読める。 パラ…、とページをめくる音だけが聞こえる。 「………」 次から次へ、と本を読みながら飲む物だから、あっと云う間に、ミルクティーは空になる。 「ありゃ…無くなっちゃった」 「ん?」 「新しいの、淹れてくる」 国光の足に抱きつきながら本を読んでいた奏汰は、空のティーポットを手に、キッチンへと向かった。 「……」 本格的な物を淹れたがる奏汰。 戻って来るのに時間が掛かる事を予想出来た国光は、続きを読む事を決め、再び、本へ視線を落とした。 ◇◆◇◆◇ 「2人ともそんな体制で本、読めるのかい?(--;)」 仕事を終えた海音が帰宅。 2人の姿を見た海音は唖然。 その姿とは、国光の右肩に顎を乗せ、一緒になって、一冊の本を読んでいる―…2人の姿であった。 後ろから見れば、奏汰が抱きついている様に見えた。 「う?」 「?」 状況を判っていない2人に、海音は溜息を吐いた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |