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番外編
001
「……大丈夫かしら…」

ぽつり、と呟くのはリトルラビットのドラマー、ツバキ。
普段なら音楽番組以外の出演はしないスイレンなのだが、そろそろバラエティ番組にも出演するべきだろう、と言う事務所側の意向でたった一人で出演する事が決まった。
そして、今日は、そのバラエティ番組の収録日である。
ツバキの不安は増すばかり。
強引に押し切れば良かったか、等と思い始めていた。
そんなツバキを説得するのは、シャイニング事務所の先輩アイドルであるQUARTET NIGHTの寿嶺二と、美風藍。

「ツバキ。そんなに心配しなくても大丈夫だよ。近くのスタジオにはボク達もいるし、トキヤとショウも一緒に出演するんだし」
「そうだよ。万が一の事も踏まえて、スイスイの薬も持ってるから」

ツバキの前に出されたのは、エピペン。
それは、奏音がアナフィラキシーショックを起こした時に打つ必要な薬。
このバラエティ番組は、軽い食事が番組内で出される。
奏音が重度のそばアレルギーである旨を番組にはすでに伝えてあるのだが、万が一を踏まえ、QUARTET NIGHTメンバー全員がアナフィラキシーショックの応急処置を医師より習っていた。

「トキヤとショウには、蘭丸とカミュが言い聞かせてるから、安心して」
「………」

それでも、一抹の不安が拭い切れないのか、ツバキは不安そうな眼差しを向ける。

「ツーちゃん?」
「……何かあるの?」
「あのプロデューサー……スーに何もしなければ良いんだけど……」
「え?」
「――――……あたしの気にしすぎですね!スーも自立しないと!」

それだけを言い残すと、ツバキは自身の仕事の為にラジオブースへと向かっていった。

「何か……煮えきらないね」
「あーちゃんに確認してみる」
「その方が良いね」

嶺二はスマホ片手に、あざみに連絡を取り始めた。

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