番外編 1 「ぅんー……しょ」 奏汰は、部屋の模様替えをしていた。 要らない物を入れていた箱を取り出すと、中を確認する。 「えーと……これは、もう要らない……っと」 昔、書いた絵。 裏側には、子供らしい文字で、"さくらいかなた"と書いてある。 それを興味なさげに見つめ、袋に入れていく。 あれよあれよ、と云う内に、ゴミ袋は膨らんでいく。 「こんなに無駄な物があったのか」 感心したかの様に呟かれ、クローゼットを見つめる、その眼差しは、キラキラと輝いている。 それを見た国光は溜息を吐いた。 「クローゼットの中はタイムマシン…ッ」 「そんな訳ないだろう(--;)」 「良いだろー。ハチミツくん。夢がないぞ」 「どんな夢だ(--;)さっさと片付けるぞ」 「はぁい」 ガタガタと、次から次へと出てくる箱を外に出し、組み立てた棚を設置し始める。 正直云えば、こう云う時の男手は助かる。 特に、国光の特技である木工。 これが大いに役立った。 一通り何でも出来る奏汰だが、苦手な物があった。 それは、工作である。 どれだけ、取扱説明書を見ても、完成した試しがない。 必ず、何かしらの部品が余るのだ。 それ故、木工関係は国光が作る事となったのである。 [*前へ][次へ#] [戻る] |