ラピスラズリの泪 005 時間は、あれよあれよ、と云う間に、月曜日。 あの双子の登校日。 周囲は、ザワザワ、とよどめき立つ。 「双子じゃん」 「顔、ちっちゃ〜い」 「お人形みたい」 ボソボソ、と、囁き合う声が聞こえる。 暫く様子を見ていると、陽汰は鞄を持ってはいない。 ふ、と隣を見れば、奏汰が陽汰の鞄と自らの鞄を持っている。 そして、戦国時代の夫婦さながらに、陽汰の後ろ三歩下がって歩くその様子を見て、 [[[[[メイドか!!]]]]] その場に居た者全てが、そう心で突っ込んだのは云う迄もない。 が、本人達は、何時もの事らしいのか、周囲を気にする事なく、職員室へ向かうが、次第に奏汰の機嫌が悪くなり始める。 「気にしなーいの。編入生が珍しいんだから」 「ですが、姉様。ボク達は見せ物パンダではございません」 「仕方ないじゃない。ガーデンブルグの制服を着てるのも視線を集める要因だし」 「制服が用意出来次第に登校する、とすべきでした」 「ハイハイ(--;)猫グッズ一個買って良いから」 「陽ちゃん(*^^*)」 何を云われたのかは判らないが、急に奏汰の機嫌良くなる。 「一個だけだからね!!」 「判っておりま……」 「匹じゃないから」 「!!(゜ロ゚ノ)ノ」 ずぅん、と、音がするぐらい、ショックを隠せない奏汰。 それを見ていた陽汰は、呆れ果てながら、 「猫狂いめ」 そう呟く。 「何か仰いましたか?」 「いーえ。何でも」 「色狂いよりマシでしょう」 「聞こえてんじゃん(--;)」 冷ややかな眼差しを向け、小さく溜息を吐く陽汰を余所に、奏汰は何事もなかったかの様に振る舞っていた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |