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Wonderful days
師匠と弟子
エントランスで、奏汰vsミーハー女子が言い争っているとはつゆ知らず。
国光と景吾は、生徒会室に居た。

「あぁ。それで構わない」
「迎えのバスは此方で手配しておく」
「判った」

景吾は、用意された紅茶を一口飲むと、

「手塚」
「何だ」
「お前、氷帝(ウチ)の天才と従妹と云っていたが……」

景吾の言葉に、国光の動きが止まった。

「それがどうした?」

ギロ、と、冷たい眼差しを向けた。
だが、そんなものにビクつく景吾ではない。

「只の従兄妹と云う間柄だけじゃねェだろ」
「………」
「お前が、桜井とミックスダブルスを組んでいたのも初耳だ」

国光は、黙ったまま景吾を見ていた。
このまま、黙って居続けても構わないが、景吾の事だ。必ず、調べ上げるだろう。

「試合を申し込むのも―――……」
「奏汰は、俺の師匠だ」

国光は口を開いた。

「……師匠?」
「そうだ。奏汰は俺よりも強い」

その言葉に、景吾は驚く。
国光が云うぐらいだ。
かなりの実力なのだろう。
だが、それだけの実力を持っていながら、部活に所属してはいない、なんて、考えられない。
しかし、相手は"氷帝一"の"奇人変人本の虫"の桜井奏汰。
注目されるのを嫌う奏汰は、テニス部にも所属しなかったのだろう。

[――…気になる]

桜井が何処までの実力なのか、この目で見てみたい。
景吾は、そんな感情に駆られた。

「桜井と試合、させてやろうか?」
「……!」

思い掛けない言葉に、パッと顔を上げる。

「彼奴が無いと云っていたテニスウェアやシューズなら、予備があるぜ?」

景吾の言葉に、国光は表情を微かに緩ませた。
何度も申し込んだ試合。
けれど、奏汰は素気なく断りを入れて来た。
今回は受けて貰えるかも知れない―――…。
そう思った時、断る時に見せる、哀しく笑った奏汰の笑顔が脳裏に過ぎった。

「嫌……、今回は見送る」
「……良いのか?」
「………あぁ」

その言葉に、景吾は小さく笑った。

[何だかんだ云いながら、桜井には嫌われたくねェってか……]

国光の、判り辛い表情を読み取ったのか、景吾はそれ以上、云うのを止めた。
奏汰の事は、従妹で、テニスの弟子でもある国光の方が、良く判っている。
ここは国光の意思を尊重した方が良いだろう。
そうしないと、俺様の目論見も、泡と消える。

「何だ?」

景吾の意味深な笑みに気付いたのか、国光は景吾を睨む。

「何でもねェよ」

景吾はそう云うと、書類を纏め上げるのだった。

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