Wonderful days 帰路 それから、暫し、談笑の時間となっていたが、雪斗はずっと思案の表情を浮かべていた。 奏汰は、テニス部では無い。 ましてや、他校の手伝いとしての参加となる。 単なる参加選手の警護強化、とは思えないのだ。 だが、その疑問をぶつけたら、売り言葉に買い言葉で警備強化をして貰えないかも知れない―――……。 そう考えると何も云えなくなってしまった。 「そろそろ、お暇しようか」 「……あぁ。じゃあ、スミレちゃん、行こうか」 ガタ、と、席を立つ雪斗の後を追うように、スミレは席を立つ。 その間も、雪斗は思案の表情を浮かべたままだった。 [一体、あのおっさん…何を考えてやがる?] どれだけ考えても、太郎の行動が理解出来ない。 「雪斗。考えながら、運転するんじゃないよ」 「へ?」 「………(--;)」 「あ、あぁ。悪い」 雪斗は、一時、考えるのを止めた。 単身事故なら構わないが、今回はスミレが乗っている…云わば、他人の命を預かっているのだ。 ほんの些細な事が命取り。 考える事は、何時でも出来る。 雪斗は小さく溜息を吐くと、気を取り直し、ハンドルを握った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |