[携帯モード] [URL送信]

Wonderful days
兄の願い
部屋に足を進めると、そこには、氷帝学園テニス部監督の榊太郎の姿と、ニコ、と笑う青年――…海音の姿があった。

「遠路遙々、ようこそお越し頂きました。竜崎先生、どうぞ、お掛け下さい」

ガタ、と、椅子を引き、有無を云わさぬ笑みを浮かべた海音に、スミレは何も云えず、促されるままに腰を下ろした。

「話、とは?」

スミレが腰を下ろしたのを確認した太郎が、口を開く。

「義妹の――…奏汰の事です」
「桜井の?」
「ええ。お二方に来て頂いたのは、奏汰を守る為に合宿所の警備強化のお願いをしたいんです」
「どう云う意味です?」

怪訝そうな表情を浮かべ、海音を見る。
海音は、何処かしら悲しげな表情を浮かべながら、口を開いた。



◇◆◇◆◇




海音の口から紡がれて行く言葉に、スミレ・太郎は何も云えなかった。

「運命は非情だよ」

泣き声に近い声で呟く。
奏汰が歩んできた残酷な過去を聞かされ、どうして、国光が奏汰を甘やかすのが判った。

「事情は判った。こちらも手配しておこう」
「ご理解、感謝します」

協力して貰えなければ、自分達で何とかしなければ、と考えていた。
けれど、その心配が無くなった。
海音と雪斗は、安堵の溜息を吐いた。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!