Wonderful days
人の気も知らないで
一方、その頃の大人組は、と云うと―――……。
「スミレちゃん、ここだぜ」
「ここは……?」
とあるビルが立ち並ぶ中、雪斗に連れられて、エレベーターに乗る。
見た事は合っても、入った事の無いビルに、内心、ドキドキものである。
『15階です』
機械質の声で、階を告げる。
視界に広がる景色は、場違いな所に来たのではないか、と錯覚させた。
「ま、堅くならないでよ」
「……人の気も知らないで、良く云うね(--;)」
雪斗の後を付いて歩く。
その間にすれ違う人々は、スミレの姿を視線で追いかける。
もし、ここに奏汰が居れば、
『ボク達は見せ物じゃないぞ』
と、怒り狂うのだろうが、それ所じゃないスミレは、視線に気が付いていなかった。
「ここだ」
「……」
目の前にある、扉。
そこには金色の文字で、『ル・ヴェーラ』と書かれていた。
ル・ヴェーラ、と云えば、モデル界、音楽界、俳優界など、様々な世界に手を広げている会社である。
勿論、奏汰の義兄3人も、この会社に所属している。
「海音居る〜?」
「!!(゜ロ゚ノ)ノ」
あっけらかん、と云う雪斗を余所に、スミレはギョ、とした視線を向けた。
「雪斗、待ってたよ」
穏やかな声が、部屋に響いた。
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