Wonderful days くっつき虫 「あんた達、練習もしないで何やってんだい」 その言葉に振り返れば、中年の女性。 どうやら、青学テニス部の顧問なのだろう。 怪訝そうな表情で、テニスコートに姿を見せた。 「お、スミレちゃん」 「「「ス、スミレちゃん!!!?」」」 周囲はどよめく。 「雪斗。いい加減、あたしを名前で呼ぶのは止めな(ーー;)」 「んだよ、スミレちゃんはスミレちゃんだろ」 2人のやりとりを見ていた奏汰は、じぃ、と国光を見つめる。 その視線に気が付いたのか、国光が視線を合わせる。 そして、一言、 「云っておくが、雪斗さんと竜崎先生は、教え子と恩師の間柄だ」 「う?」 「奏汰が考えている様な間柄ではないから、安心しろ」 「ん」 コクン、と頷くと、ぎゅう、としがみつく腕に力を込める。 それに気付いた国光は、ポンポン、と背中をあやす。 それを見たスミレは、 「ところで手塚。そのくっつき虫は何だい(ーー;)」 誰もが思っていた事をズバリ尋ねるスミレに、雪斗は苦笑いを浮かべ、 「俺の義妹で、国光とは従妹。別名、国光大好きっ娘、所によりウサギ」 と、告げた。 「何だい、その"所により"は。天気予報じゃあるまいし(ーー;)」 スミレの突っ込みに、「ウサギは寂しくなると、くっつき虫になる」と、補足。 その様子を見ていた国光は何度吐いたか判らない程の、盛大な溜息を吐いた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |