Wonderful days 誰ですか? 「他人に慣れるって……どう云う意味なんだ?」 自他共に厳しい国光が、奏汰にだけ態度が異なるのを目の当たりにすれば、当然の疑問である。 けれど、周助は答える事なく、何時もの笑顔を浮かべていた。 「あー…限界か?」 声が聞こえた方を向けば、そこには車を停め終えた雪斗の姿があった。 「雪斗さん」 「ウサギが泣き出しちまったか。連れて帰るか」 「いえ。ただ、大声に驚いただけでしょう」 奏汰にテニスをさせるには、その気にさせる必要がある。 漸く、奏汰をリハビリと云う名目で連れて来たのに、こんな事で、無しにしたくない。 そんな欲望に駆られた国光は、表情を変えぬまま、雪斗に告げるが、自他共に認めるシスコンの雪斗が首を縦に振る事はなく。 「家に帰るか?」 そう尋ねてみるものの、奏汰は、ぎゅう、と国光にしがみつき離れようとはしなかった。 「国光大好きっ娘め(ーー;)」 国光は黙ったまま、奏汰をあやし、雪斗は、やれやれ、と溜息を吐いた。 そんな2人のやりとりを見ていた部員達の疑問が、募り始める。 痺れを切らした部員が意を決し、 「あの〜…」 国光と雪斗。 2人の鋭い視線を浴びた部員は、震える声で、 「手塚部長、この人達、誰なんですか?」 と、告げたのだった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |