Wonderful days 修羅場の原因 「で、何があった?」 景吾の言葉に、陽香は口を開いた。 「…彼らはね、奏汰の逆鱗に触れたのよ」 「逆鱗?」 「手塚君の陰口を彼らが云ってたから、奏汰が怒ったのよ」 「…手塚はそんなの気にせえへんやろ?」 いつの間にか、景吾と陽香の周りに、テニス部のレギュラーの面々が集まり始める。 「手塚君は気にしなくても、奏汰が気にするのよ。奏汰にとって、手塚君"だけ"が唯一無二の存在だから」 「大げさな……」 「大げさなんかじゃないわ」 真剣な表情の陽香に、レギュラー達は何も云えなかった。 「ま、殺されなかっただけでも良しとしないと」 「怖すぎだろ!!」 「何寝ぼけた云ってんの。本気ギレだったら、あの子、ニコニコ笑いながら、撲殺するわよ。そして、こう云うの(・言・)」 ゴクリ、と固唾を飲む。 「キミ達が悪いんだ。ボクの愛弟子を貶したんだから。そんな虫螻(ムシケラ)共に生きてる価値なんて、無いよねってね」 「ま…マジか…」 その様子を想像した岳人は、背筋に悪寒が走るのを感じた。 「要するに、今回の騒ぎの原因は、陰口って奴か」 「そゆ事。口は災いの元、って事を体験出来たんだから、良いんじゃないのぉ?」 [さ、流石は桜井の友人……] その場に居た者は、そう感じざるを得なかった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |