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足踏み
4ー3

「これ、ご迷惑おかけしました」

蓮さんが翔梧さんに手にしていた紙袋を渡す。多分タオルだろう。

「ん、ありがとな。時間あるか?何か飲んでかないか?適当に用意するから。それまでそこ座っとけ」

人懐こい笑顔で蓮さんに微笑み、翔梧さんは厨房の奥へ入って行った。気をつかって席を外してくれたのかな。なら尚更蓮さんに伝えなければ。

「この前はごめんなさい。自分勝手にここに連れてきたくせに勝手に消えて。自分がいて蓮さんに何か出来る訳じゃないですけど。無責任だったなぁって思って・・・」

あぁ、でもこうやって前の事を掘り返すってよくないのかな。いや、でも誤った方がいいと思うし。まずこの考えが失礼なのかな。重いかな。だめだ、また負の方向にグダグダ考えてしまう。

「・・・謝るのは俺の方」

蓮さんがぽつりと呟いた。

「それに促したのは俺だし。1人で休みたかったから。気にしないで。充分助けてもらったよ」

蓮さんが不器用に笑った。前にマキちゃんに笑いかけた時と違う。蓮さんて多分全体的に不器用な人なんだろうな。

「・・・あと、さっきの。髪とか顔とか、褒め過ぎ。恥ずかしいから」

少しそっぽを向きながら蓮さんが小声で言った。薄く赤く染まった頬がちらりと見えて、不謹慎かもしれないけど頬が緩む。不快ではなくて恥ずかしい、という解釈でいいのかな?それにまた話しが出来た。嬉しさから思わず未だにそっぽを向いている蓮さんに「ありがとうございます」と言うと、少しだけ蓮さんがこちらを向いてくれた。





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