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足踏み
3ー9

ドアを開け階段を登る。登り切って見えた空は曇りだけど雨は止んでいた。傘もないのに飛び出して来てしまった。はぁ、と溜息が漏れる。それを弾みにとぼとぼ歩き出す。今日はダメだ、いろいろと。今日がじゃない。自分がダメなんだ。さっきの人にも気を使わせてしまった。それに加えぶっきらぼうに店を出てしまった。自責の念にかられる。それに、会いたくもない人にも会った。消したくても過去はまとわりついてくるんだな。それが嫌で人と関わらない様にしていたのに。・・・でも、優しくしてくれた。ことりさんは優しくしてくれた。雨に濡れていたら心配してくれたし、俺が自分を責めれば泣きそうな顔をした。拒絶なんてされなかった。彼女なら自分の全てをを拒絶せず受け入れてくれるのかな、なんて。思った瞬間その考えが自分勝手で笑えた。でもそんな自分勝手な期待をしてしまう自分がいた。



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あきゅろす。
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