[携帯モード] [URL送信]

足踏み
3ー3

「すっっごいカッコよくなかったですか!?」
「うん!声も綺麗だったね。それに詞がとってもよかったと思う!」

ライブ後、私と旭君は興奮冷めぬまま歩きながらライブのことを話していた。ライブハウスが小さいからか、普通にそういう物なのか、楽器の音も声もよく響いていて、まだ耳にその音が残っている。

「ですよね!ボーカルの子の声が曲によく合ってますよねー」

バンドと聞いて何となく男の人を想像していたら、そのバンドのボーカルは女の子だった。女の子だけど力強くって、芯のある大人っぽい歌声で素直にカッコいいと思った。すらっと背が高く、キリッとした顔立ちも自分には真似できない物があって憧れる。女性の気持ちをよく表している歌詞も素敵だった。

「今日は興奮し過ぎて眠れないです」
「ふふっ、旭君すっごい興奮してたもんね」

幸せそうに笑う旭君の顔を見て、私もつられて笑う。大通りに出たところで旭君がくるっと振り返った。

「本当に今日はありがとうございました。また行きましようね!ことりさん」
「うん、今日はありがとう」
「俺こっちの道で帰りますけど、ことりさん1人で大丈夫ですか?」
「うん。そんな遅くないし、駅も近いし大丈夫だよ。ありがとう」

明るく手を振る旭君に手を振り返す。1人にっててくてくと歩きながら私はコンビニを探す。頭の中には昨日の佑さんが浮かんでいた。



[*前へ][次へ#]

3/9ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!