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足踏み
1ー2
そんな私が1日で1番好きな時間。それは就寝前のパソコンに向っている時。

ことり〉今日も1日楽しかったですよ。あと、春風が心地よいです。
ゆう〉わかる。ついウトウトしちゃうよね。(笑)講義中とかやばいっ

「ふふっ」

画面内の言葉に表情が緩む。私はここ数ヶ月あるサイトでチャットをしている。毎晩1〜2時間ここで出会った“ゆう”さんと会話するのが私の楽しみだ。ゆうさんは男の人で、大学生だと言っていた。正直今までの人生で異性と話す事があまりなかったから、最初はとても緊張したけど今ではチャットでゆうさんとお話しする時間が1番楽しい。

ゆう〉そう言えば、前に髪留め欲しいって言ってたけどいいもの見つかった?

1週間前に何気なくした会話を覚えていてくれた。それがすごく嬉しい。ちゃんと私に関心を持ってくれてるんだな、と思いまた表情が緩む。

ことり〉いや〜、なかなか探しに行く時間がなくって・・・。
ゆう〉そっか。女の子って選ぶの時間かかりそうだもんね。

まぁ、実際は1人で探しに行くのが味気なくって、行動に出てないだけだけど。大体「今日も1日楽しかった」なんていうのも嘘。きっとゆうさんならちゃんと最後まで話しを聞いてくれると思う。こうやって毎晩チャットで話しをして、いい人だって分かれば分かるほど程相談できない自分がいる。それにこうしてチャットで話しができるだけで幸せだし。

そう考えていたら、画面にゆうさんから新しい書き込みがされた。

ゆう〉じゃあ、今度一緒に買いに行かない?

「・・・え」

それってつまりはどういう事だろう。私には「ゆうさんと私が一緒にお買い物に行く」と言う解釈になったけど。自惚れだろうか。

ゆう〉率直に言うと、僕はことりちゃんに会ってみたいです。抵抗あるなら素直に言って。ごめんね、急に。

まるで漫画みたいに身体中がぶわっと熱くなる。心臓が無性にドキドキする。別に会いたいと言われただけなのに。いや、会いたいと言われたからか、私には威力が高すぎた。
ーーーでも、私も会ってみたい。
ゆうさんがどういうつもりで会いたいと思ってくれたかはわからないけど、自分も会ってみたいと思う。それに会って危険な事をする人ではないと思う。勘だけど。

ことり〉私も会いたいです。

震える手で精一杯キーを叩いた。相手にそんな深い意味はないだろうに、こんなにあがってしまって恥かしい。多分私の顔は今真っ赤だと思う。そわそわしながら私はゆうさんからの書き込みを待った。


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