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足踏み
2ー10

「・・・は?」

佑が声を発した途端、周りの空気がしんと静まり返った。

「つーかさっきから、人見るのはいいけど、分かりやすい見方すんなよ。不快になる様な品のない見方だな」

眉をひそめ、そう言いながら佑が特に騒いでいた女の子2人を一瞥し小声で

「なんだ豚かよ。あんなのにイマイチ扱いされるとか」

と呟いた。その顔はすごく不満そうだ。隣で焦った様に旭が「翔梧さんっ」と呼びかけてきた。目配せで大丈夫だと伝える。一応佑も客が少なくなったのを見計らってくれたみたいだし。ただ、そこまで気づかえるなら今度から店の外でやってくれ。

「な、なんだよお前!!さっきから好き勝手。お前アレだろ、ことりちゃんが言ってたネットで知り合った奴だろ。やっぱりな。ことりちゃんはいい奴って言って騙されてたけど、ろくな奴じゃねーな!!」

突然向かいに座ってた少年が大声を上げながら立ち上がった。おぉ、随分ないい様だな。おかげで旭が真っ青だ。でもまぁ確かに、こいつはろくな奴じゃないな。それに大声出してくれて、客の視線が集まったな。そろそろか。

「黙れよ豚。童貞が分かった様にほざいてんじゃね「まーまー、お客様」

「お客様。ウチ8時以降学生立ち入り禁止なんですよね。もうすぐ8時なんでそろそろお帰りの時間ですが。それとあまり大声を出していただかない方が助かるのですが」

深々と頭を下げる。出来るだけ申し訳なさそうに。彼らは辺りを見渡し、自分達に沢山の非難の目が向けられていることに気がついた様だ。しかし自分で言っておきながら何だが、彼らを一方的に責めていてやるせないな。彼らは今の状況を理解してくれたみたいで、そそくさと店を後にした。集まる高圧的な視線に耐えきれなかったんだろうな。

「わりーな。助かったわ」
「おぅ、また佑か?お前も顔に似合わずキツイねぇ」
「煩いよ」

客・・・と言うか常連のダチ達に一応礼を言う。今こいつらしか店にいなくて助かったぜ。こいつらが空気読んでああいう態度とってくれてなきゃ、今頃事態の収拾に困っていたところだ。やれやれだ。俺は目の前の元凶を見下ろす。


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