足踏み 2ー8 その後、もう一度お礼を言ってゆうさんと2人で店を出た。空は薄暗い程度だった。 「今日は楽しかった?」 後ろを振り向くとゆうさんが少し心配そうに立っていた。私は素直に「はい、とっても」と笑って返すと、ゆうさんも顔を綻ばせた。どうしてそんなことを聞くのだろう?不思議そうにゆうさんを見つめていたら 「ごめん、変な事聞いて」 とゆうさんが慌てた様に付け足した。 「今日、あった時元気なかったから。・・・と言うか自信なさそうな顔してた。歳違うし男だけど、俺らもいるし。1人じゃないから。自信持っていいんだよ」 ゆうさんが優しく微笑んでくれた。私は自信がなかったのだろうか?そんな顔をしていたのだとしたら、ゆうさんは見ていてくれた。自分でも何でナチちゃん達の視線を気にしたり、モヤモヤしていたのか分からなかったけど、ゆうさんの言葉に納得する。最近学校では1人でいることが多かったから、1人慣れしていない自分は不安で、自分に自信が持てなかったのかもしれない。 「ありがとうございます。少し自信出ました」 心のモヤモヤが少しずつ晴れていく気がする。私は明るくお礼を言った。自分を見てくれて、気づかってくれる人がいる。そう思うと自信が出てきた。 「・・・遅くなるし、送るよ」 「いえ、まだ明るいですし1人で帰れますよ。ありがとうございます」 送ってくれると言ってくれたけど、今日は1人で帰りたいと思った。別に1人でいたいからとかじゃなくって、1人でも1人じゃないって事を確認したかったから。自分でも変だとは思うけど。私は笑顔でゆうさんと別れた。 佑はことりを見送った後も暫く建物の壁に背中を預けて、何かを考えていた。遠くから聞こえる人の声に我に返り、店内に戻ろうとする。すると人の声が消え、パッと静かになった。佑は不審に思い、声の聞こえていた方を見やる。 そこには先ほどことりを迎えに行った時に見かけた少女達がいた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |