足踏み
2ー4
「ことりさんっ、俺とお話ししましょっ!」
突然視界に1人の男の子が入ってきた。驚いて見上げると、まだ少し幼さの残る顔立ちの大きな目をした男の子が立っていた。
「お隣イイですか?俺旭って言います。これ、当店オリジナルドリンクです!」
「あ、ありがとうございます」
キラキラした目の旭さんはテキパキと自己紹介をし、私にジュースを差し出した。張り切った様な顔で少し体より大きめの黒のTシャツを握る姿は、何故か小さな男の子を連想させた。
「敬語じゃなくてイイですよ!ゆうさんのご友人なら!俺とも仲良くして下さいっ」
へへって愛らしく笑う旭さん・・・旭君?はとても親しみやすい印象を与えてくれた。それにとても可愛らしい。敬語じゃなくていいってことは、年下なのかな?若いのに働いてて偉いなぁ。
「こちらこそ。あ、これすごく美味しいです。・・・あ、美味しいよ?」
緊張をほぐすつもりで飲んだジュースがとても美味しくて、旭君に言うと旭君はぴあっと顔を輝かせた。
「本当ですか!?それ俺が作ったやつなんです。レシピも見たけど、俺なりにアレンジいれてるんです!すっげー嬉しいです!」
旭君がすごくニコニコしていて、私も何だか嬉しくなる。
「はしゃぎ過ぎだぞ旭。はい、ことりちゃん。食事来るまでもう少し待ってて下さい」
店員さんも黒色の衣服で統一なのか、黒いワイシャツとジーパン姿の男の人がやって来て、私の目の前に美味しそうなシャーベットを置いてくれた。しゅっとした狐目の、少し長めの髪をハーフアップにした男の人だ。
「ありがとうございます」
「いえいえ。ついでに名前は佐久間源太って言います。よろしく。隣いいっすか?」
「あ、はい。もちろん」
ふと気づく。今自分は何故か男の人2人に挟まれる形で座っている。普段経験しない異性との距離にどきまぎしながら、とりあえず、目の前に出されたシャーベットを食べる。すると旭君がふふっと吹き出した。
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