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足踏み
2ー2

そして放課後。メールにもあったように今日はゆうさんが迎えに来てくれて、一緒にご飯を食べる予定になっている。メールのやり取りをしていても実際に会うのは1週間ぶり。メールのやり取りでゆうさんの通う大学も自宅も、私の住む場所からそう遠くない事が分かった。そう遠くないと言っても電車で30分はかかる距離らしい。ゆうさんばかりに苦労させて申し訳ないので、次会える時は自分が会いに行こう、なんてまだ今日もまだ会っていない内から考え出す。待ち合わせ通り校門前に立ちながら、携帯電話で時間を確認する。もうすぐだな、なんて思って顔をあげてー・・・

ナチちゃんとマキちゃんと目が合った。2人だけじゃない。この前の合コンで一緒だった子達もいる。本能的に考えるより先に視線を下ろす。何を思ってこっちを見ているんだろう。この距離では話していても聞こえない。悪口?不安が心に雲を作り始めた時

「ことりちゃん、お待たせ」
「ゆうさん、お久しぶりです」

ゆうさんの優しい声が聞こえた。声の方向に振り返ると、1週間前同様の爽やかな笑顔のゆうさんがいた。ほっと安堵する。が、上手く笑えない顔で返事をしてしまった。

「?どうしたの?何かー・・・」

言いかけてゆうさんがちらりと視線を移す。その視線の先は私の頭の向こうー・・・ナチちゃん達の方向だ。ゆうさんは不思議そうにしながら、その方向に曖昧に会釈をする。

「お友達かな?女の子達がこっち見てたよ。ことりちゃんのお友達?」

ゆうさんが問いかけてきたけど、返す言葉が見つからなかった。こっちを見てた。それはゆうさんをだろうか。それとも 自分?少なくともゆうさんが来る前、あの子達は確かに私を見ていた。自意識過剰になっているのだろうか。今はナチちゃん達の視線がこわい。関わらないと決めていても、視線が気になってしまう。その視線を向けられると、私だけが悪者のような気になる。

「あ・・・なんか、ごめんね。不用意な質問だったね」
「え、いや違うんです。大丈夫ですよ!!」

しゅんって効果音が聞こえそうなほど、悲しそうな顔をするゆうさんに慌てる。そんな顔をさせたいわけじゃないのに。会って早々暗い顔を見せるなんて失礼な事をしてしまった。

「さっ、ここでこーしてるのも何ですから!どこ行きますか?」
「うん、じゃあそろそろ行こっか。今日は僕がよく行くとこに行こう」

出来るだけ元気に話題を変える。そしたらゆうさんも私を見て、明るく対応してくれた。その事に感謝しつつ、私達はゆうさんの行きつけの場所に向かった。




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