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お昼のあと教室に戻ってみると男子はほとんどいなくて、話を聞いてみるとどうやら外へ行って外壁にするための段ボールにスプレーで色づけしているらしかった。
女子は花飾りやメッセージカードを作っていた。
お弁当箱を鞄のなかに押し込んでからその輪に入ってみる。
こうして作業に参加してみると意外と違和感なく女子たちに溶け込めている自分にびっくりして。
まあ、自主的な参加ではなくて教室内の空気に流されただけのような気がするけど。
周りの子の見様見真似でカードに太いペンで「ありがとうございました」と書く。
「あ、キラキラしてる」
「そーこれいいでしょ? 百均で見つけたんだー」
隣にいた子が自慢げに同じ種類のペンを軽く振って見せた。
「でもさー、黄緑色のカードに赤い文字って何かクリスマスっぽいよね!」
あたしのカードを見ながらその子は大げさに笑った。
赤いキラキラした文字は可愛いけど、確かにこのセンスはちょっと季節外れだった。
すでにできあがってるカードをいくつか見て、あたしもこんどはきちんと書こうと新しいカードに手を伸ばしたとき、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
「あ、じゃあ続きは放課後だね。みんなてきとーに片づけてってー」
そう言って彼女たちは箱やらビニール袋に作業の道具を詰め込んでいった。
「恵もさ、手伝えるときは手伝ってね!」
不参加な姿勢を咎められるかと思い、机上のペンを集めながら彼女を見ると彼女は「恵の字がいちばん上手いから!」と笑った。
(*)backgo(#)
木春菊
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