結婚はいいことか?
「なぁ、結婚っていいことか?」
甲板でのんびりと日向ぼっこしながら昼寝をしようとしていると、エースがそう尋ねてきた。
シトラスは片目をあけて好奇心旺盛な瞳を向けるエースを見た。
そういう質問をしてきたのはおそらく昨晩、シトラスが妻がいることを明かしたからだろう。
普段なら昼寝を邪魔されただけでひどく怒るシトラスも仕方なさそうに、今日だけは、とでもいうように起き上がった。
「とてもいいものですよ」
「どんな風にか?」
「言葉では言いあらわしにくいですね。ではエースに質問です。エースは異性に恋をしたことは?」
「ねぇ!」
「威張らなくても…」
胸をはって大声で答えた彼に、シトラスは少し微笑んだ。
「では、ルフィ君でしたっけ?ルフィ君のことは好きですか?」
「当たり前だ!大事な弟だからな」
「それですよ」
シトラスは歯うぃ見せてニカッと笑う彼にそういった。
すると予想通りエースは?をたくさん浮かべていた。
「エースがルフィ君を好きなのは家族だから。家族は他人とは違う切っても切れない縁があります。恋人というのは他人でありながら好きになってしまったことのようなもの。そんな人と切っても切れない縁を結びたいと思うから結婚して、家族になるんですよ」
「ん?むずかしくてよくわかんねぇけど、家族になりたいから家族になるための約束事。結婚ってそんなところか?」
シトラスは頷いて、エースのくせっけ頭をなでてやった。
「僕は海へ飛び出すことを決めました。その時彼女が僕から離れるのではと怖くなって、結婚を申し込んだんですよ。僕のエゴで彼女を縛っているような感じはしますけど、僕は後悔してません。彼女もそれを望んでいましたからね」
「シトラスってむずかしいこというからよくわからないけど、お前は結婚して幸せなんだな」
「もちろんですよ」
「よし!俺、結婚する」
エースの言葉にシトラスは口をあんぐりと開けた。
「だ、誰とですか?」
「知らねぇ。これから探すんだ」
「なんだ。いるかと思いましたよ」
「何ホッとしてるんだ?お前って本当変な奴だよな」
「いえ、気にしないでください」
「そうか?んじゃ気にしねぇ。シトラス腹減った。食堂いこう!!」
「そうですね。では行きますか!」
子を手放すときがやってきた父親の気持ちをわずかに理解したシトラスであった。
意外な一面
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