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The White Rose Of Virginity(完)
8

イノセンスは青空を見つめ、涙した。悲しいぐらい真っさらな青い空。


「あの…人を生き…返らせたかった……」

「父さんは母さんが幸せでいてくれたらよかったと思っている」


イノセンスはユノの頬に手をもっていった。


「トールは…行こうっ、て…でもね、、あなたが…いたから…………行けなか……った」


トール、それが父さんの名前だった。私がお腹にいたせいで母さんはあの男の側を離れることができなかった。
あの男、前王。
ある意味私が母さんをこんな風にした。
だから、母さんはあの男を殺すために“モノ”の研究を始めた。


「ユノ、ゴメン……ね。道具と…して……扱って…。憎かった……でしょ。」


沈黙が流れる。イノセンスの呼吸が浅くなる。


「私は母さんが憎かった。母さんのせいで全てが管理されていたから、守りたいものも守れなかったから。」


イノセンスは何も言わない。言葉が見つからないのか聞こえていないのかはわからないけど、ユノはそれでもよかった。


「だけど母さんは一番信用できた。母さんは嘘をつかないから。母さんは私のせいで狂った。だから私の手で殺したかった。母さんが生み出したこの力で殺したかった」


イノセンスは少し悲しそうにした。
そして微笑んだ。


「幸せに………なりな…さい。私とトー…ルの愛……する………娘」


イノセンスの手は力なく地の上におちた。
表情は穏やかで幸せそうだ。今までにない幸せそうな。


「私はこの力とともに闇へ落ちる。幸せになるのは無理だよ」


研究所の奥には久しぶりにみる父、トールが水槽の中で眠っていた。同じ輝く金髪。瞳は固く閉じられている。


「久しぶりです、父さん。母さんは父さんのところに逝きました。静かに眠ってください。」


水槽に手を伸ばしたとき侵入対策の槍が飛んできた。腹に深く刺さり右目には再生できないようなする印が結ばれた。
しかしあまり気にも止めずユノは手早く抜き取った。
トールを抱えると外へ向かった。
瓦礫に二人を並ばせて手を繋がせた。
左手にあるお揃いの指輪は自身の左手の親指と中指にはめた。そしてその手で二人の手にのせ、炎を生み出した。
炎は瞬くまに二人を包み込んだ。


「哀れな道化に安らぎを」


灰となり風に流れるのを眺めながら言った。



「そしてどうか輪廻し、また巡り会い今度は静かな人生を」







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