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The White Rose Of Virginity(完)
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徹夜を始めて3日目、さすがに疲れたのか男かも女かもわからぬ、とても奇麗に整った顔立ちをした一人の人間、それがこの国、アムステルダム王国を治める王、英雄王、ジューダス。

ハーフアップにした長い黒髪から見える銀眼を少し閉じ、目の前にある書類を遠ざけた。
少し仮眠でもしようと立ち上がろうとした瞬間。

「陛下。」

執務室の遠慮がちなノックとともに、黒髪に黒目のこれまた顔の整った長身の男が入ってきた。

「なんだ、ロイヤル、私は今寝ようとしているのに」

長身の男はロイヤルと呼ばれた。ロイヤルは微笑を浮かべている。白い肌に不気味なほど赤い唇で弧を描き。
ジューダスは王であった父の子であった。しかし父が病死して即位するにあたって彼は民衆からあまり期待されていなかった。
原因は暴君であった父のせいだ。

民衆の税を無駄遣いし、気に入らない奴はすぐによくて拷問付き投獄か死刑。
しかし彼はちがった。
即位してすぐに平民の暮らしがよくなるように努めた。
それは歴代の王以上であった。
それが彼が英雄王といわれる由縁であった。

「貴族のケルゲレン他数名が陛下に面会をしたい、とのことです」

ロイヤルは即位以前からジューダスに仕えている。つまりはジューダスが最も頼りにしている部下だ。ため息をつくとジューダスは静かに、白を貴重とした質のよい服を揺らした。
謁見の間につくと貴族が数名待っていた。
みなジューダスを厳しい目でにらんでいた。
それはこれからの話が原因でもあるが、彼の経歴のせいでもあった。
彼らは唯一彼の正体を知るものであった。

ジューダスはドカッと王座につくと片肘をついた。

「さっさと用件を言え、私はお前等と違って忙しい、それに私の休みを削っているんだ。」

面倒くさそうに尋ねた。
すると、貴族代表のケルゲレンが一歩前にでた。


「では単刀直入にいわせていただきます、我々貴族の税金をあげ、平民の税金を下げるとはどういうことですか?貴族が苦しんでおります、一刻もはやくさげてください。」

ケルゲレンに同意するかのように他の貴族も頷いた。
ジューダスの反応を待っていると、彼は突然笑い始めた。大声で、枯れた声で、あざけるかのように。







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あきゅろす。
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