The White Rose Of Virginity(完)
1
「こいつがジューダスの母親?」
カインにイノセンスが笑顔を向ける。
「そう、ノゥがこの子の親なの」
と言うとイノセンスの体が氷に包まれ割れた。そこに現れたのは40歳前後の美しい女性であった。
「久しぶりね、本当の姿は」
体を慣らすようにあちこちが音をたてる。
「カイン・アディスアベバね、まさか見つけ出すなんてまだあんなことに執着してるの?ジューダス」
呆れたように言う。
「俺のことなんで」
「そっか、忘れてるんだっけ?全部」
思い出したようにカインの頭をかるく撫でた。
「“モノ”としての意味を知りたくてここにいるんでしょ?私がおしえてあげるわ」
ハッとジューダスがイノセンスに斬りかかった。
「――っ!やめろ!!!!」
しかし抵抗はむなしく手を伸ばしたイノセンスに弾かれ壁に叩きつけられた。
立ち上がろうとするが魔法陣があらわれジューダスを床に押さえつける。駆け寄ろうとロイヤルたちも駆け出したがどこからか現れた牢に閉じ込められた。
「クソッ、陛下!」
「俺の意味を知っているのか?」
半信半疑で尋ねる。
「もちろんよ、本当はあの子も知っているわ」
イノセンスは唇をカインの耳元に持っていった。
「道化師の皮を剥いであげて」
顔を離すと彼女は微笑を浮かべていた。
「どういう意味?」
「そのうち分かるわ」
イノセンスは楽しそうに地面に叩きつけられているジューダスの元に座った。開放してやると力なく倒れた。
イノセンスは愛おしいそうに抱きしめた。
「カイン、教えてあげるわ、私のカワイイ坊やがどうしてあなたを傍においているか」
「やめ…ろ……」
体中から血が流れる。
「あなたが大切なの。昔、自分を救ったあなたが大切なの。この子は化け物で、あなたはこの子を受け入れた」
「お前、それでも母親なのかよ」
軽蔑するような視線を向ける。
「当たり前でしょ?だってこの子を生んだのは私」
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