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The White Rose Of Virginity(完)
10

深い水のそこから上がっていくような感覚がする。
あともう少し。
もう少しで水面というところで目が覚めた。急いで起き上がると額からぬるくなった布が落ちた。カインがこんなことをするはずはない。
おそらくセシルだろう。


「あれほど怖がっていたくせに…」


息は上がり、汗の量も半端ない。
喉もどことなく痛い、きっとものすごく魘されていたはずだ。それでセシルが来た、それなら話があうな。などと納得すると風呂場へ向かった。
服を脱いで汗を流していく。
不意に鏡に自分の背中がうつった。
魔方陣のような大きい刺青が入れられている。昔、他に同じような刺青をもったやつが二人いるっていってたな。
背中を思い切引っ掻く。うっすらと血が滲む。
思わず笑ってしまった。
この背中を傷つけるのはこれで何度目だろうと…。


「何度みても気に食わないな」


服をサッと着ると部屋へ戻った。部屋のテーブルには水が置かれていた。グラスの傍に手紙が置いてある。
見慣れない文字。


【昼間は助けていただいたのにお礼もせず申し訳ありません、しかし陛下の行った行為が正しいとは思いません。誰かに話す気はありません、それにきっと信じないでしょう。すごく魘されていたので喉がかわいていると思ったので水を用意しておきました。   セシル】

これには少し驚いた。


「セシル、面白いやつだ、穢れを知らなかったころが懐かしいな」


水を一気飲みをしてその日眠りに落ちることはなかった。








次の日、二人は村を出た。ジューダスが殺人を犯したという事実を知るのはセシル一人。
他の村人はなにも知らない。
しかし、昨日の一件で二人が危ない者と関わっていると知った村人たちは以前ほど親しくはしなかった。







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