The White Rose Of Virginity(完) 10 カインは昼前にある違和感を感じた。 「おい、なにか村のほう騒がしくないか?」 同じように畑仕事をしている友人に尋ねた。 友人が耳を澄まそうとしたとき、一人の子供が走ってきた。 「カイン兄ちゃん!お城の人が探してる」 それにカインは険しい表情を浮かべた。 村では突然の騎士団の訪問に驚いていた。 先頭にいる鎧をきた黒髪の男に注目が置かれた。 「私は騎士団団長、ハジ・ジュノー、今日はこの村に住むカイン・アディスアベバの身柄を拘束に参った」 集まっていた村人はざわめき始めた。 「お言葉ですがカインは優しい人です、一体彼はなにを?」 セシルは一歩前にでて尋ねた。 しかし誰も何も言わない。 村中に自然と重い空気が流れていた。セシルの様子を読み取ってか子供たちも心配気だ。 そんな空気をやぶったのは人だかりから現れたカインであった。 「よう、王国の騎士様がこんなド田舎に何のようだ。」 軽い感じであったが目は笑っていなかった。 「突然申し訳ありません、私はスイ・ジュノー、騎士団で第一部隊隊長を務めております。こちらは私の双子の兄でもある騎士団団長のハジでございます。」 背中に似合わない長槍を背負った女性、スイが馬から下りて紹介した。 「我々は陛下のご命令であなたを入城させるように言われました、大人しくしたがっていただければ安全に連れてゆきます」 口調は穏やかではあるが言葉の内容を読み取ると違った。 大人しくしないなら痛い思いをする。 「断る、俺がここを離れれば孤児院は誰が稼ぐ、畑仕事もだ」 「そんなことなら私がすぐに手配する」 兵の中から突然、声が聞こえてきた。 聞き覚えのある声に兵は左右に寄せ道を作り、ハジとスイも跪いた。 [*前へ][次へ#] |