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The White Rose Of Virginity(完)
9

「おれさ、フィニと結婚することになったから」

クコウの加えていた煙草が口から落ちる。言葉を失っているようだ。アポロはそれだけ言うと、病院を後にした。







それからさらに数日後、ハジが休暇をもらいかえってきた。


「父さん、話があるんだけど」


ソファでノアと談笑していると、息子であるアポロがけだるそうに声をかけた。


「なんだ?」


アポロはソファの向かい側に椅子を持ってきた。ハジは何を話すのかそわそわしていた。話の内容をすでに知っているノアはこれからのハジの反応を楽しみにしている。


「俺さ、戦争が終わったら結婚するね」

「……………」


ハジが石のように固まった。ノアは笑いを必死でこらえている。聞こえなかったか?とアポロはもう一度繰り返す。


「俺さ、戦争が終わったら結婚するね」

「……けっこん?」

「そう、結婚。母さんにはもう紹介してあるし承諾ももらったから。明日からまた仕事でしょ?先に伝えておこうと思って」


そういうとアポロは風呂に入りにいった。
ハジはノアに涙目を向けた。


「ってことはアポロはこの家をでるのか?」

「でしょうね」

「同居は?」

「私が許さない」


やっとハジの子離れが進むかな?とノアがノンビリ考えていると、郵便が届いた。
騎士団からの重要という二文字の載った封筒だ。


「ハジ、騎士団からよ」


ハジはショックを受けながらも、手紙を受け取った。だが、重要の言葉をみた瞬間、顔が引き締まった。緊張が走る。封筒の中にはいってある紙には以下の文が書かれていた。


《ハジ・ジュノー、及びアポロ・セントヘレナ。右二名は五日後、正午より開戦される、天地戦争の出兵を命じる》


ノアが息を呑んだ。
とうとう開戦されてしまう。この城下町にきて、たった二ヶ月。たった二ヶ月で戦争がはじまる。それを早くさせたのは紛れもない、アポロのあの書類のせいであった。


「アポロもでるの?」

「この戦争はすべてアポロの書類と指揮で左右される。あいつがいなければこの戦争に勝気を見出すのは難しいと、騎士団内で誰もが口にしている。陛下でさえ…」


ハジが悔しそうに唇をかみ締めた。

ノアはハジに抱きついて嗚咽を漏らした。





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