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The White Rose Of Virginity(完)
3

城でのある日のこと。アポロはシエラの目を盗んで城下町に来ていた。ずっと仕事ばかりをしていたせいで、運動不足だ。もともと頑張るなどという感性を持ち合わせていないアポロは、慣れないことに頭痛がし始めていた。城からうらやましそうに見ていた城下町は少し、いやアポロにとってはものすごく活気がありすぎた。一ヶ月に一度売りに出していた市場よりすさまじかった。店の量も広さも半端ない。


「うわぁ、ちょっ 無理。」


顔を引きつらせながら、アポロは静かな場所を探した。そして見つけたのが、広場の木の上。下では大道芸人に子供たちが歓声を上げている。今日はきれいな青空。ずっと寝不足だったアポロに、睡魔が襲い始めたのはすぐだった。そんななか


「そんなところで寝ていたら危ないよぉ」


独特なしゃべり方にアポロは片目を開けた。すると自分より少し高い枝で、自分とあまり変わらない年の少女がいた。赤毛に赤い瞳。顔立ちはよくも悪くもない。つまり、普通だ。なのに、なのにアポロは心臓が刎ねた。すぐに分かった。今まで経験したことはなかったけれど、分かった。アポロはこの少女に恋をしたんだ。


「んだよ、俺の睡眠、邪魔するな」

「なんだぁ、自分から寝てたんだぁ。それはごめんね、ボクもねよっかなぁ」


女の子のくせに一人称が《ボク》。アポロはあまり気にも留めず、再び眼を閉じた。


「フィニシル?どこにいるの?」


遠くから女性の声が聞こえた。


「もう探しにくるなんてはやいよぉ」

「お前フィニシルっていうの?」

「そぉだよぉ。ボクはフィニシル・リーン、フィニって呼んでいいよ。君は?」

「アポロ・セントヘレナ」

「そっか、アポロ。でも君には会えないねぇ」

「どういう意味だよ?」


フィニは赤毛を揺らして笑った。


「ボクは病気なんだよぉ、本当は外にでちゃいけないんだぁ。」

「じゃぁなんでいるの?」


フィニは寂しそうに笑った。


「だって外が毎日こんなに騒がしかったら、出たくなるじゃん、けど天気がよかったからここにいたんだよぉ」


アポロは何かを考えるように、欠伸をした。フィニが白いワンピースのすそをつかみ、木から下りようとしたとき


「俺もさ、本当は城下町が気になって城を抜け出してきたんだ」


アポロの言葉にフィニが足を止めた。そしてアポロを見る。アポロはただ木から差し込む光を見ている。


「ずっと城で仕事しててさ、毎日だりぃって思ってたんだけど、今日監視の目を盗んで出てきた。けどさ、俺に城下町は騒がしすぎてここにいたんだ。」


訳が分からないというように、フィニは不機嫌そうに頬を膨らました。


「でも、お前が城下町に行きたいっていうなら連れてってやるよ。俺、運動神経いんだよね。」


向日葵が咲いたようにフィニが笑顔になった。アポロは起き上がって、フィニに手を差し出した。


「俺とデートをしていただけませんか?ミス.リーン」


フィニはアポロの手に病気のせいでやせ細った白い手をのせた。


「きゃあ!フィニ、何をしているの?今すぐ降りてきなさい!!病院へ戻るわよ。」


下を見ると看護士がいた。


「んじゃ、逃げるか」


アポロはフィニの細く軽い体を抱えて木から木へ移っていき、城下町へ向かった。





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あきゅろす。
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