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The White Rose Of Virginity(完)
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それはすぐに見つかった。最後の王、英雄王ジューダスの退位のときの演説。五十年前のエリス戦争によって生き残った魔導師の発表、自分が魔導師であることの告白、そして人間を魔導師にする実験があった事実。
これは学校でも教えられた。しかし、学校では教えられなかったことがこの歴史書には書いてあった。
アポロはその文に言葉を失った。

《英雄王、ジューダスの義妹であるノア・セントヘレナはジューダスの退位のとき、国民の前に立つと自身が妹であることを告白、そしてすばらしい演説をした。彼女は種族を超えた絆というものを熱演し、国民の心を動かした、アムステルダム統一の裏の立役者ともいえる働きをした。》


自分の母が歴史の立役者。母についてはそれだけしか書かれていなかった。その続きのページは破り捨てられていた。写真には王と民衆が。アポロは眼鏡をかけ、じっくりと写真を食い入るようにみる。だが、欲しい姿はない。見つからない。父の姿が。
まさか、と思ったがない。

他の歴史書も読み漁る。だがない。
肝心な部分は破られているのだ。きっと自分が見つけた母についての文が両親のミスなのだろう。破り忘れたたった数行。
それが、母の本当の姿。だが、あのユノという女性も、レインズも、ハジについての文が見つからない。
よっぽど、自分に知られたくなかったのだろう。


あの昼間の暗殺者。きっと父も何か、大物だったのだろう。父は母のほうに籍を入れた。スイ叔母さんの名前は偽名だ。母の正体がばれるより、父の正体がばれるほうがまずかったのだろうな。





ユノが眼を覚ましたのはその直後だった。










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